ルソーの夢想 自然との一体化 Jean-Jacques Rousseau et ses rêveries

Quand le soir approchait je descendais des cimes de l’île et j’allais volontiers m’asseoir au bord du lac sur la grève dans quelque asile caché;

Quand le soir approchait(6音節) – その時、夕方が近付いていた。

je descendais des cimes de l’île,(9)- 私は島の上の方から下りていった。(cimeは一番高いところ。)

Et j’allais volontiers m’asseoir (8)- そして、好んで座った。

座ったところは、3つの表現で示される。
au bord du lac(4)- 湖の畔
sur la grève (3)- 砂地の上
dans quelque asile caché(7)- あるひっそりとした(隠れたーあまり人から見えない)場所。

フランス語の文章では、概念的な大きな要素から細部へという順番で、言葉がつながって出てくる。映画で、カメラをズームにしていく場合を思い描くといい。
ここでは、まず湖の畔が映し出される。そこには砂地があり、最後にひっとりとした場所が見える。

この状況を描き出す散文の音節数は、6 / 9 /8/4/ 3 / 7。
Quand le soir approchait / je descendais des cimes de l’île / et j’allais volontiers m’asseoir / au bord du lac / sur la grève / dans quelque asile caché; 
この音の数が連なるリズムから、すでに湖の岸辺に打ち寄せる小さな波の動きを感じることができる。

こうして岸に座った後、記述は、目の前の光景から夢想へと進む。

là le bruit des vagues et l’agitation de l’eau fixant mes sens et chassant de mon âme toute autre agitation la plongeaient dans une rêverie délicieuse où la nuit me surprenait souvent sans que je m’en fusse aperçu.

その場所で(là)、波の音(le bruit des vagues)と、波の動き(l’agitation de l’eau)が五感を固定し(fixant mes sens)、魂から他の動きを追いだしてしまう(chassant de mon âme toute autre agitation)。そうした中で、魂は夢想に浸り(la plongeaient dans une rêverie)、甘美な感覚(délicieuse)を味わう。そんな夢想の最中、しばしば、いつの間にか夜になっているのびっくりし(la nuit me surprenait souvent)、そのことに気付きもしなかった(sans que je m’en fusse aperçu)。

音節数を確認すると、次の様になる。
1 / 5 / 8 /4 / 13 / 13 / 9 / 8
là / le bruit des vagues / et l’agitation de l’eau / fixant mes sens / et chassant de mon âme / toute autre agitation / la plongeaient dans une rêverie délicieuse / où la nuit me surprenait souvent / sans que je m’en fusse aperçu.
最初に一音節で始まりながら、途中からは非常に長い音の連なりになり、あたかも感覚や意識が言葉のリズムに呑み込まれるような感じがする。

この音楽的な散文でルソーが語るのは、五感の中でも彼にとってとりわけ重要な聴覚と視覚な刺激である。触覚でも臭覚でも味覚でもなく、ルソーは視覚と、とりわけ聴覚によって、外の世界とつながっている。
その波の動き(視覚)と音(聴覚)が、夢想者の五感を固定し、自己意識を失わせる。彼は湖の畔に座りぼっとし、何も考えず、波の動きと音だけをおぼろげに感じる。こうした我を忘れた状態が、夢想をますます甘美なものにする。

音楽性に関して言えば、ルソーは音楽を教え、作曲もしていた。彼の代表作は「村の占い師」le devin du village。

このオペラの中で劇中劇が演じられるが、その中の一節が、日本でよく知られている「むすんでひらいて」のメロディーに似ていると言われている。
http://www.worldfolksong.com/closeup/musunde/page2.htm

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