ランボー「母音」 Rimbaud, « Voyelles » ボードレールを超えて  Au-delà de Baudelaire

4.Iは赤

赤に移ると、攻撃の対象は、1830年のロマン主義詩人たちになる。

I, pourpres, sang craché, rire des lèvres belles
Dans la colère ou les ivresses pénitentes ;

I, 緋色。吐き出された血、美しい唇の笑い
怒りにとらわれた時の、あるいは贖罪の陶酔の中での。

Iでは、赤(rouge)という単語は出て来ず、« pourpre »が使われる。きらきらとした濃い赤の材質で、古い時代にはローマの執政官やキリスト教の高位聖職者の服として用いられていた。贖罪(pénitent)はその連想。

宗教的な苦行の中で、血を吐くまで自己を責めさいなむことがあったのだろう。そして、それが陶酔につながる。
その時、神の前で悔恨を吐露しているようでいながら、もしかすると悪魔の行為かもしれない。怒りや笑いは堕天使である悪魔を連想させる。笑う唇の美しさが悪魔のものだとすれば、最大の皮肉となる。

この2行詩は、物質的な緋色の素材や吐き出された血で始まるが、笑い、怒り、陶酔という順に、感情的な要素が強くなっていく。これは高踏派ではなく、ロマン主義文学のテーマだといえる。

音では、« i »が« rire »と最初に響き合い、最後に« ivresses pénitentes »と2度連続する(assonance)。その音によって、笑いと贖罪の陶酔が赤く染まる。

« pourpre »には、« p »と« r »が2回づつ出てくる(allitération)。
« p »が次に出てくるのは、最後の« pénitent »。それに対して、« r »は、« rire », « lèvres », « colère », « ivresse »と連続し、悪魔の緋色の笑いが詩句全体に響いているかのような印象を生み出している。

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