ジブリ・アニメの中の自然

風の谷のナウシカ

ナウシカの世界の最も中心部にあるのは、清浄な水をたたえた地底世界である。

世界の表面は、毒を撒き散らす腐海の森に侵略され、徐々に死の世界への変わろうとしてる。その毒は、「火の7日間」と呼ばれる最終戦争によって滅んだ巨大産業文明の残滓であり、わずかに残った都市や人の住む谷を破壊するオウムの群は、その象徴としての働きをしている。

その腐海の森の最深部に、「青き清浄の地」が横たわる。澄んだ空気が漂う、美しい森と水の風景。

この地に滑り込んだナウシカとアスベルは、腐海の植物群が、大地の毒を体内で結晶化し、清浄な水と砂を生み出していることを知る。オウムは、自然の清浄化の番人なのだ。

この地底世界の自然こそ、宮崎駿監督が「もののけ姫」のインタヴューの中で言及している自然の姿だといえる。

「自分たちの国の一番奥に、人が足を踏み入れてはいけない非常に清浄なところがあって、そこには豊かな水が流れ出て、深い森を守っている。」

監督は、こうした自然に対する日本人的な感性が崩壊しつつあると感じ、それを映像化したのだということもできるだろう。

ナウシカは、「青き清浄の地」を司る巫女とも考えられる。彼女は、風の谷にある秘密の地下室で、腐海の植物を育てている。そこで、毒は発散されない。

秘密の地下室の植物たちが毒を出さないのは、清浄な水と砂のおかげだとナウシカは言う。その水と砂は、腐海の森の最深部から来ているものに違いない。

「風の谷のナウシカ」が描く世界の根底にあるのは、宮崎監督が今失われつつあると感じている自然なのだ。そのことが、二つのエピソードを通して見えてくる。

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