ハウルの動く城 歩くことと家族の形成

動く城とハウル

ハウルの城とは何だろう。

城は確かな目的もなく、荒れ地を移動する。動力はカルシファー。内部はちらかり放題で、ソフィーは掃除婦として住み込む。

まず注目したいのは、動力のカルシファー。

火の悪魔は、ハウルとの契約によって暖炉に縛り付けられ、動力源として働かされている。
カルシファーは、契約を解き、自由になりたいと、しばしば口にする。

その契約の謎は、物語の後半で明らかにされる。
ハウルが子どものころ、流星にとらえ、彼はそれを呑み込んだ。すると、心臓がハウルの胸から出てしまう。それが、ハウルとカルシファーの契約の瞬間。
アニメの中ではっきりとは描かれていないが、燃える心臓をカルシファーが包み込んでいる。あるいは、カルシファーはハウルの心臓だと考えることもできる。

このように考えると、ハウルの心臓は肉体から分離し、外部化されていることがわかってくる。

その関係は、城とカルシファーの関係と対応している。動く城は、心を失ったハウルの混乱した状態を具現化しているのだ。

ハウル             城
身体(美少年の外観)      建物 複雑化した肉体(アイデンティティ)心(カルシファー)       動力(カルシファー) 

次に、城の出入り口について考えてみよう。
ドアには4色の円盤がかかっていて、異なった空間につながっている。


緑 ー 荒れ地 (星の湖を含む)
赤 ー 首都キングズベリー
青 ー 港町 
黒 ー ハウルしか知らない謎の空間

王宮でサリマンと対決した後、ハウルは魔法によって引っ越しをする。その時、円盤の色も手直しされる。

黄 ー ソフィーの住んでいた町 (室内にも部屋が一つ増え、ソフィーの帽子屋の仕事部屋ができる。)
緑 ー ハウルの隠れ家(水車小屋のある秘密の花園)

こうした多次元空間の中で、ハウルは別の名前を持っている
首都キングズベリーでは、ペンドラゴン。
港町では、ジェンキンス。
それ以外の場所では、ハウル。

なぜ一つの空間に止まることなく、いくつもの名前を持っているのだろう。
アニメの中では、「自由に生きるのに必要なだけの名前」を持っている、と説明される。

その言葉には二つの意味があるだろう。
一つは、一カ所に固定されず、時と場合に応じて違う自分である自由。
もう一つは、恐ろしい敵(荒れ地の魔女、サリマン)から逃げるための自由。

逃げるという点は、動く城の内部と関係がある。
スタイリッシュで、美しくなければ生きている意味がないと叫ぶハウルだが、実は臆病で、荒れ地の魔女から逃げるためにいろいろな物をためこみ、家の中がゴミ屋敷のようになっている。

サリマンからの呼び出しのときも、恐くて行けないので、ソフィーに代わりに行ってくれと頼む。
ソフィーへの愛の自覚が生まれ、守る者ができたから戦うと言う前のハウルは、外見ばかりにとらわれ、逃げているばかりいる存在。
時には黒い色の空間に飛び立って戦うが、何のためなのかわからない。

このように考えると、複数の名前、多次元空間、城の内部の混乱には共通点があることがわかってくる。それらのことは、ハウルが逃げてばかりいる弱い存在であることを示している。

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