マラルメ 「蒼穹」 Mallarmé « L’Azur » 初期マラルメの詩法

En vain! l’Azur triomphe, et je l’entends qui chante
Dans les cloches. Mon âme, il se fait voix pour plus
Nous faire peur avec sa victoire méchante,
Et du métal vivant sort en bleus angelus!

望んでも無駄だ! 「蒼穹」が勝利する。私には聞こえる。それが歌うのが、
数々の鐘楼の中で。我が魂よ、 「蒼穹」は声になり、
私たちをさらに怯えさせる、意地悪な勝利の歌で。
命ある金属から出てくる、青い祈りの歌となり。

Salvator Dali, Réminiscence archéologique de l’Angelus de Millet,

詩句の冒頭に置かれた« En vain »は、前の詩節の« J’y veux »を受け、望んだとしても、それは無駄である、それはできない、という意味。
句をまたぐのではなく、詩節をまたいだ「摘置(rejet)」だといえる。
この技法を用いることで、できないということに、強い焦点が当てられる。

どんなに逃げても、「蒼穹」から逃げ切ることはできない。
「蒼穹」は教会の鐘楼で響き、青い祈りの歌となる。私の魂はその声を聞き、「蒼穹」の勝利を思い知らさせる。
ボードレールのように「美」と戦おうが、マラルメのように「美」から逃走しようが、最後に勝つのは「美」。その確認が第8詩節でなされる。

Il roule par la brume, ancien et traverse
Ta native agonie ainsi qu’un glaive sûr;
Où fuir dans la révolte inutile et perverse?
Je suis hanté. L’Azur! l’Azur! l’Azur! l’Azur!

それは霧の中を進む、古いままで。そして、横切る、
お前の生まれながら死の苦しみを、確実に貫き通す剣のように。
無益で倒錯した反抗の中で、どこに逃げるのか?
私は取り憑かれている。「蒼穹」!「蒼穹」!「蒼穹」!「蒼穹」!

「蒼穹」は霧の中を通り過ぎていく。その霧は、私が逃走するときに投げかけた夜の断片だった。しかし、「蒼穹」はそれ以前と変わることなく、かつてのままだ。

それと同じように、詩人の苦悩も生まれながらのもので、剣を避けようとしても確実に刺される。詩人は死の苦しみを味わうよう、運命ずけられているのである。

それでも、私は再び逃れようとする。
その反抗が無益であり、逃げれば逃げるほど苦痛をかき立てる、倒錯的なものであることはわかっている。しかし、逃げようとすることで、ますます強く「蒼穹」に取り憑かれていることが明白になる。。
「蒼穹」を四度反復する最後の叫びは、逃れても、逃れても、逃れられない詩人という存在を際立たせる。

逃亡は「蒼穹」を顕現させる、倒錯的な身振りである。そして、その身振りこそ、マラルメの詩を成り立たたせている。

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