非再現性の時代

再現についての補足

再現芸術の時代に関して、補足が必要かもしれない。

現実のモデルを模倣・再現すると言うと、現代の理解では、本当にそこにいる人や風景を忠実に再現することを考える。

しかし、再現芸術の時代は古典主義芸術の時代とも対応し、例えば風景であれば、目の前の景色ではなく、理想の風景を模倣・再現することが目的だった。

神話や歴史の場面であれば、実際に見ることはできないのだから、そのことが容易に理解できる。

17世紀の画家、クロード・ロランの描いた「タルスに上陸するクレオパトラのいる風景」。誰もこの場面を見ることはできないのだから、モデルは画家が頭の中で作り上げた理想の風景であることがわかる。

Claude Lorrain, Le Débarquement de Cléopâtre à Tarse

現実に存在している場所を対象としても、理想化が施されている。
https://bohemegalante.com/2019/03/14/le-paysage-au-19e-siecle/
ユベール・ロベールが描いたローマ近郊の風景画。

Hubert Robert, Temple de Vesta à Tivoli

実際に存在するティヴォリ、丘の上の神殿、その下の滝。それだけ揃っていると実在の風景の写生のように思われるが、実はこの風景は画家が組み立てた理想の風景である。

実際の風景では、滝と神殿は一緒に見えない。

再現というのが現実のモデルを写し取るのではなく、理想化したイメージの再現であることがわかると、ジェノヴァの港の風景も違って見えてくる。

Claude Lorrain, Port de Gênes, vue de la mer

ジェノヴァの港が描かれているこの風景画も、古典主義時代の絵画であることがわかれば、現実の再現ではなく、理想の風景の模倣であることが理解できる。

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