ボードレール 「酔いたまえ」 Baudelaire « Enivrez-vous » 美のエクスタシー

Et si quelquefois, sur les marches d’un palais, sur l’herbe verte d’un fossé, dans la solitude morne de votre chambre, vous vous réveillez, l’ivresse déjà diminuée ou disparue, demandez au vent, à la vague, à l’étoile, à l’oiseau, à l’horloge, à tout ce qui fuit, à tout ce qui gémit, à tout ce qui roule, à tout ce qui chante, à tout ce qui parle, demandez quelle heure il est ; et le vent, la vague, l’étoile, l’oiseau, l’horloge, vous répondront : « Il est l’heure de s’enivrer ! Pour n’être pas les esclaves martyrisés du Temps, enivrez-vous ; enivrez-vous sans cesse ! De vin, de poésie ou de vertu, à votre guise. » 

 時に、お屋敷の階段で、窪みの緑の草の上で、部屋のどんよりとした孤独の中で、君は眼を覚ますことがあるだろう。酔いはもうかなり収まっているか、完全に消えている。そんな時には、尋ねたまえ。風に、波に、星に、鳥に、柱時計に、全ての逃げ去っていくものに、全ての転がっていくものに、全ての歌うものに、全ての話すものに、尋ねたまえ。今が何の時かと。そうすれば、風が、波が、星が、鳥が、柱時計が、応えてくれるだろう。「酔う時だ! ”時間”を耐え忍ぶ奴隷にならないために、酔いたまえ。常に酔いたまえ! 酒でも、詩でも、美徳でも、好きなものでいい。」

ボードレールは、酒でも、美徳でも、何に頼ってもいいから酔うようにと言う。
しかし、何よりも強い恍惚感で酔わせてくれるのは、ポエジーであることを彼は、詩句の力によって読者に実感させる。

この散文の詩句は、言葉の積み重ねが素晴らしい効果を上げ、読む者の心を高揚させる。
何の時かと尋ねる相手は9つ。風、波、星、鳥、柱時計、全ての逃げ去っていくもの、全ての転がっていくもの、全ての歌うもの、全ての話すもの。
このように次々に言葉が重ねられる。言葉の意味ではなく、次々の繰り出される言葉の勢いが、人を高揚させ、酔わせる力を持つ。

問いに答えてくれる相手は、一度出てきたものを反復し、風、波、星、鳥、柱時計が列挙される。この時には、単語一つで表現される5つだけで、前の列挙よりもスピード感が増す。そのため、ますます高揚感が高まり、読者はボードレールの散文に酔うことになる。

最後に再び、「酔いたまえ。」という命令が繰り返され、私たち読者は完全にボードレールの詩句に酔ってしまう。

レジアニの朗読を聞くと、風から始まる列挙の部分はスピードが早すぎて、意味が掴みにくいかもしれない。しかし、大切なことは、意味よりも言葉の勢い。そのエネルギーに身を任せると、意味という現実の世界を離れ、ポエジーの世界に上昇し、美的なエクスタシーを感じることができる。

レジアニの朗読が粋なのは、最後に«  De vin, de poésie ou de vertu »と繰り返す時、自分の言葉を付け加えるところ。« de poésie »の後ろに一つの言葉が入っている。

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