ランボー 「永遠」 Rimbaud « Éternité »

1872年5月という日付が記されている原稿の「永遠 L’éternité」では、『地獄の季節』に掲載された版と、少し違いがある。

第一詩節

Elle est retrouvée !
— Quoi ? — l’Éternité.
C’est la mer mêlée
   Au soleil.

Elle est retrouvée !
— Quoi ? — l’Éternité.
C’est la mer allée
   avec le soleil.

違いは、« la mer mêlée / Au soleil »と« la mer allée / Avec le soleil »。

1872年の版だと、« Avec le soleil »は5音節で、他の3つも5音節なので、詩法的にはこちらの方が伝統的。逆に言えば、『地獄の季節』の版の方が革新性が強い。
ただし、どちらにしても、soleilが韻を踏んでいないことに変わりはない。

海と関係する動詞が、alléeからmêléeに変えられていることで、海と太陽がより強く一体化して表現されている。

ただし、allée は、中原中也等が訳しているような、「去(い)ってしまう」「去る」という意味ではなく、太陽と共に進むという意に介した方がいいだろう。

中原中也訳
去(い)ってしまった海のことさあ
太陽もろとも去(い)ってしまった。
http://nakahara.air-nifty.com/blog/2014/02/post-18dd.html

永遠が見つかったのだから、海も太陽もそこにある。決して去ってはいない。
海と太陽が一緒に歩むと理解した方が、ランボーの意図に近い。

第2詩節

Mon âme éternelle,
Observe ton vœu
Malgré la nuit seule
Et le jour en feu.

Âme sentinelle,
Murmurons l’aveu
de la nuit si nulle
Et du jour en feu.

見張りの魂よ、
誓いを呟こう、
ひどく無意味な夜と
燃える昼の。

この第2詩節は、魂、誓い、夜、昼という主要な要素は共通していながら、意味はずいぶんと違っている。
永遠の魂/見張りをする魂。
自分の魂の誓い/夜と昼の誓い
夜と昼にもかかわらず/夜と昼の誓い
夜だけ/無意味な夜

72年の原稿では、魂は監視役であり、その魂に向かって、私は、夜と昼の誓いを密かに口にしようと提案する。
73年の『地獄の季節』の版では、詩人は自分の永遠の魂に向かって、お前の誓いを守れと命令する。
このように、見張り番の魂との協力から、永遠の魂に対する命令に調子が変化することで、手を加えられた詩句の方が勢いよく感じられる。詩人はより強気だ。

第5詩節(地獄の季節)ー 第4詩節(72年)

Plus de lendemain,
Braises de satin,
     Votre ardeur
     Est le devoir.

Puisque de vous seuls,
Braises de satin,
Le Devoir s’exhale
Sans qu’on dise : enfin.

というのも、お前たちだけから、
サテンの熾火よ、
「義務」が立ち上るのだ、
「ようやく」、と言うことなく。

大きな違いは、72年では、「ようやく」と言わないという詩句が4行目に置かれているが、73年になると、その詩句が削除され、1行目に「翌日はもうない」という時間に関する記述が付け加えられていることである。

サテンの熾火に向かって、燃えることだけが義務だという内容はほぼ共通している。
ただし、表現としては、熱意が義務だ(votre ardeur est le devoir)という73年版の方がすっきりしている。

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