ボードレール 「旅」 Baudelaire « Le Voyage » 新しい詩への旅立ち その4

« Grandiras-tu toujours, grand arbre plus vivace 
Que le cyprès ? – Pourtant nous avons, avec soin, 
Cueilli quelques croquis pour votre album vorace, 
Frères qui trouvez beau tout ce qui vient de loin !

お前は成長を続けるのだろうか? 西洋杉よりも生き生きとした
巨木よ。ーーしかし、私たちは、注意深く
集めました、いくつかの素描を、あなた方の貪欲なアルバムのために、
遠くから来る全てを美しいと見做す兄弟たちよ!

Vincent van Gogh, Les Cyprès

巨木という大きな欲望に対して、詩人は、その成長を疑う疑問を投げかける。
そして、一呼吸置くかのように、彼方への美意識を共有する人々(兄弟たち)に、自分を含む旅人たちが旅の中で見たものの素描を提示する。
では、その素描には何が描かれているのか?

« Nous avons salué des idoles à trompe ; 
Des trônes constellés de joyaux lumineux ; 
Des palais ouvragés dont la féerique pompe 
Serait pour vos banquiers un rêve ruineux ;

私たちは挨拶をしました、象の鼻を持つ偶像に、
光輝く宝石がちりばめられた王座に、
細工を施された宮殿に。そのお伽のような豪華さは、
あなたたちの銀行家には、破産を招く夢のようなものでしょう。

驚くべき旅人たちが目にしたものは、3つ。偶像と王座と宮殿。
それらが実際にどのようなものなのか描かれてはいない。
ただ、破産を招くほど豪華なものということだけが記されている。

次の詩節では、さらに3つのものが付け加えられる。

« Des costumes qui sont pour les yeux une ivresse ; 
Des femmes dont les dents et les ongles sont teints, 
Et des jongleurs savants que le serpent caresse. »

ドレスは目を酔わせる。
女たちの歯と爪は彩られ、
賢い軽業師たちを蛇が愛撫する。

ドレス、女性、蛇使い。

ドレスは「酔い(ivresse)」そのものである。
女性は爪だけではなく、歯にも色彩が施され、色の力が暗示される。
軽業師は蛇を巧みに操る存在。

Henri Rousseau, La Charmeuse de serpents

ここでポイントとなるのは、こうしたものがどのようなものかということよりも、次々に数え上げられることだろう。
そして、その勢いは、第4部の最後の詩節の最後の一行が、第5部と第6部へとまたがることで、さらに強められる。

V
Et puis, et puis ?

VI
« Ô cerveaux enfantins !

V
それから? それから?

Vi
おお、子どもたちの脳髄よ!

一行の詩句が半分に分割され、前半の「それから、それから」だけが第5部を構成する。
この構成は考えられないほど巧みに、見た物を数え上げていく勢いを読者に感じさせる。

そして、その勢いのまま第6部へと流れ込み、再び見たものが何か語られていく。

その最初には、子どもたちの脳髄に対する呼びかけが置かれる。
子どもは、もちろん、「旅」の第一行目に出てきた「地図と版画が好きな子ども」を思い出させる。

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