ボードレール 「旅への誘い」 Baudelaire « L’invitation au voyage » その2 散文詩(1/2)

続く二つの詩節では、「生きる・死ぬ」という動作をさらに展開する。

第4・5詩節

 Oui, c’est là qu’il faut aller respirer, rêver et allonger les heures par l’infini des sensations. Un musicien a écrit l’Invitation à la valse ; quel est celui qui composera l’Invitation au voyage, qu’on puisse offrir à la femme aimée, à la sœur d’élection ?
 Oui, c’est dans cette atmosphère qu’il ferait bon vivre, — là-bas, où les heures plus lentes contiennent plus de pensées, où les horloges sonnent le bonheur avec une plus profonde et plus significative solennité.

 そう、あそこに行き、息をし、夢を見、感覚を無限に広げて時間を延ばさないといけない。ある音楽家は「ワルツへの誘い」を書いたことがあった。としたら、どんな人が、「旅への誘い」を作曲するのだろう。愛する女性に、選び抜かれた妹に、捧げることができるような誘いを。
  そう、できることなら、この雰囲気の中で生きるのがいい。彼方では、時間がここよりもゆっくりと流れ、ここよりも多くの思考を含んでいる。そこでは、時計が幸福の鐘を鳴らす、ここよりも奥深く、意味深い厳粛さとともに。

この二つの詩節で中心的な話題になるのは、時間。
時計で計られる時間は、誰にとっても同じ早さで過ぎ去り、人間とは無関係に存在する。
それに対して、一人の人間が心の中で感じる内的な時間は、楽しいときにはゆっくりと流れ、ある時にはその存在を感じないこともある。また別の時には、一分が永遠に続くと思われるほど長く感じられることもある。

ボードレールが求めるのは、忘我の時間。
とすれば、時間が消え去ることが理想。しかしここでは、時計の時間との関係で、スピードを遅くし、瞬間を無限に近づけることで、彼が望む時間を表現する。
その時には無限に様々な感覚を体験し、時間が止まっていると感じられるだろう。だからこそ、時間の中に多くの思考が含まれる。
また、時計が時を知らせるとしたら、それは幸福を告げる音になる。

こうした時に人を導いてくれるものとして、ウェーバー(Carl Maria von Weber)の「ワルツへの誘い(Aufforderung zum Tanz)」の名前が挙げられる。
つまり、音楽が忘我の世界への導き手になる。

その後すぐに、「旅への誘い」へ作曲家を誘うような詩句を続け、散文「旅への誘い」も、韻文詩に劣らず音楽に相応しいことが暗示される。

詩にとって音楽が重要な役割を果たすとしたら、音楽への誘いとなる散文「旅への誘い」もポエジーの世界へと人を誘うことになる。

韻文詩「旅への誘い」に付けられた曲は、散文詩にも相応しいことになる。

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