” It’s only a paper moon”は、1973年にアカデミー賞を受賞した映画「ペーパー・ムーン」の中で使われ、忘れられない曲になった。
もともとは、1933年に上演されたブロードウェイの芝居のためにハロルド·アーレンが作曲し、エドガー・”イップ”・ハーバーグとビリー・ロウズが歌詞をつけた曲。
人気のある曲だけに多くのジャズ演奏家が取り上げているが、最初に聞きたいのは、ナット・キング・コールがトリオで演奏したもの。
ナット・キング・コールの歌声はメロディアスで、明るく、聞く者を楽しい気分にさせてくれる。
It’s only a paper moon
It is only a paper moon
Hanging over a cardboard sea
But it wouldn’t be make believe
If you believe in me
It is only a canvas sky
Sailling over a muslin tree
But it wouldn’t be make believe
If you believe in me
Without your love
It’s a honky-tonk parade
Without your love
It’s a melody played on a penny arcade
It’s a Barnum and Bailey world
Just as phony as it can be
But it wouldn’t be make believe
If you believe in me
Without your love
It’s a honky-tonk parade
Without your love
It’s a melody played on a penny arcade
It’s a Barnum and Bailey world
Just as phony as it can be
But it wouldn’t be make believe
If you believe in me
https://genius.com/Nat-king-cole-its-only-a-paper-moon-lyrics
ジャンゴ・ラインハルトのギターとステファン・グラッペリのヴァイオリンを中心にした「フランス・ホット・クラブ五重奏団」の演奏は、躍動感のあるリズムが素晴らしい。
ロマ(ジプシー)音楽的な雰囲気を感じさせながら、フランスの洗練されたジャズの香りもある。
スピード感のある演奏としては、ライオネル・ハンプトンがクインテットで演奏したもの。バディ・デフランコのクラリネットが疾走する。
マイルス・ディビスがまだ若かった1951年の演奏。ジャズを芸術に高めようとするのではなく、自分たちの身近な音楽として楽しんでいるマイルスの演奏を聴くことができる。
テナー・サックスのソニー・ロリンズ、ベースのチャールス・ミンガス、ドラムスのアーロ・ブレーキ—などすごいメンバーが揃っているけれど、とにかく楽しそうに合奏している。
ドラムスのアート・ブレーキーが何度も結成してたジャズ・メッセンジャーズの中でも、最高のメンバーがいた時代の演奏は、ハード・バップ・ジャズの典型。元のメロディーは吹き飛ばして、前向きな推進力を全開し、とにかく元気よく進んで行く。
イギリス生まれの盲目のピアニスト、ジョージ・シアリングは、クール・ジャズの代表。ブレーキーの熱い演奏とは反対に、シアリングによるピアノ・トリオの演奏はまさにクール。原曲のよさをさらに引き立たせる洗練された演奏。
ケニー・ドリュー はリズム感に溢れながら、メロディアスな演奏を得意とするジャズ・ピアニスト。原曲から出発しインプロヴィゼーションへと移行するジャズの楽しさを満喫させてくれる。
最後はもう一度歌物に戻り、エラ・フィッツジェラルドのIt’s only a paper moonを聞いてみよう。
彼女の声はいつ聞いても甘く、歌そのものを優しく包んで聞かせてくれる。