ボードレール「コレスポンダンス」からインスピレーションを受けたコンポジション 森田 拓夢作曲 Correspondances for Soprano and 8 musicians

シャルル・ボードレールの「コレスポンダンス」からインスピレーションを受け、京都市立芸術大学、音楽学部、作曲専攻4年生、森田 拓夢氏が「Correspondances for Soprano & 8 musicians」を作曲され、2021年2月3日に京都市北文化会館にて開催された新作発表演奏会『Birth of Music』 で演奏が行われました。

作曲者、森田 拓夢氏による解説

 この作品はフランスの詩人、シャルル=ピエール・ボードレール(1821-1867)の詩集『悪の華』に収められた”Corespondences”という14行の詩にもとづく歌曲です。
私は今回、詩の意味と音(発音)の関係やそのズレに興味があり、歌曲という編成を選択しました。
その上で、この詩の共感覚の美しい描写は、私の興味である「音に意味を感じること」とつながるものがあるのではないかと感じ、この詩を選びました。  

 曲の全体は3部にわかれており、大きなABAの三部形式と聴くことができると思います。3部それぞれに一度ずつ詩が用いられ、第2部と第3部は続けて演奏されます。  

 第1部はいわゆる歌曲のスタイルで書かれ、私が用意した3つの音楽的なモチーフの展開を中心として、詩の意味から連想される音楽を書きました。  
 第2部は第1部の変奏であり、前述の通り詩の「意味」ではなく「音」に焦点を当てて展開がなされます。
詩の「意味」を膨らませようと試みた第1部に続けて、その「音」に注目した音楽を並べることで、同じ詩から二つのものを感じとる共感覚的な時間感覚=correspondancesを作れるのではないかと考え、それを試みた楽章です。  
 第3部は第1部の再現でありつつ、ソプラノによってこの詩の日本訳の朗読が行われます。
第1部での「意味」の展開、第2部での「音」の展開の後に、この第3部で再度「意味」の展開がなされますが、ここでは音楽の聴取者がその詩自体の意味を理解することで、音楽が閉じられます。  

 詩の「意味」と「音」と「うた」の間にできる、ゆるやかな関係を楽しんで頂ければ幸いです。