おもひでぽろぽろ 思い出と向き合う

高畑勲が監督した「おもひでぽろぽろ」は、アニメ作品にありがちなファンタジー的な要素がなく、特別な主人公の特別な冒険物語とは正反対の作品。

主人公タエ子は27歳。独身で、東京の会社に勤めている。
物語は、田舎に憧れている彼女が10日間の休暇を取り、農業体験をするために山形の親戚の家に行くところから始まる。
田舎に行くと決めた時から、突然、小学校5年生の思い出がポロポロとこぼれ落ちるように蘇り、彼女の心を一杯にする。

山形では、親戚の家族に混ざって紅花を摘む作業を手伝ったり、有機農業に取り組むトシオに有機農業の手ほどきを受けたり、蔵王にドライブにいったりする。東京に戻る前の日、親戚のおばあさんからトシオの嫁になってくれと突然言われ困惑する。しかし、結局、そのまま東京に戻る電車に乗る。

しかし、電車の中で突然考えを変え、次の駅で電車を降る。そして、トシオが迎えに来た車に乗り、親戚の家に戻る道を辿る。

特別なことが何もなく、ただ一人の女性が田舎で農業体験をし、一人の男性と仲よくなるという物語。

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かぐや姫の物語 自由と自然 Le conte de la Princesse Kaguya liberté et nature

高畑勲監督が2014年に発表した「かぐや姫の物語」は、スタジオジブリの作品としては、まったくヒットしなかった。
同じ年に公開された宮崎駿監督の「風立ちぬ」が810万人(興行収益120億円)だったのに対して、「かぐや姫の物語」は185万人(25億円)だったと言われている。

フランスで公開された時には、芸術性が優れているという点で評価が高く、日本でも一部からは優れたアニメとして認められている。しかし、人気は出なかった。その理由はどこにあるのだろうか。

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動く線 スタジオ・ジブリ かぐや姫の物語 

スタジオ・ジブリの高畑勲監督が制作した「かぐや姫の物語」の映像表現は、「動く線」を最大限に活かした作品。
ディズニー・アニメの現実的な映像とは反対に、手書きの絵の雰囲気を最大限に活かしている。

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