日本語の特色と普段の話題

日本語には面白い特色があるが、その中のあるものは、人間関係に影響を及ぼし、会話の中身そのものに直接かかわっている。

様々な場所で、人の噂話をしたり、芸能人ネタや恋バナで盛り上がり、時間を忘れるほどになる。
仲の良い友だちの間なら、人の悪口もいいネタになったりする。

もちろん、こうした話題はどんな言語でも話されるに違いない。
しかし、日本語には、こうした話題をすることで、ある目的を達しやすくする特色があるらしい。
『私家版 日本語文法』の著者、井上ひさしは、そうした特色を「自分定めと縄張りづくり」「ナカマとヨソモノ」と表現している。

結論を言ってしまえば、私たちがよくする会話は、ナカマ意識の確認と、もう一つ付け加えれば、自己愛の保証、その二つを暗黙の目的としているのではないかと考えられる。

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外国語学習 過去と完了

英語を勉強し始めた頃、現在完了が出てきて、過去とどう違うのわからなかったという経験はないだろうか。
私たちの自然な感覚からすると、完了したことは過去のことなのだから、現在完了も過去のことに違いないと思う。その結果、二つの違いがよくわからない。
その上、現在完了に関しては、経験・継続・完了の3用法があると説明されるが、過去の概念に関しては何の説明も、用法の解説もない。なぜだろう?

さらに、過去完了(had+pp.)はある程度理解できるが、未来完了(will have+pp.)はわからないという人もいる。
過去未来完了(would have+pp.)になると、最初から理解を諦めてしまう人も多い。

なぜ日本語母語者は、英語やヨーロッパの言語の時制体系をすっと理解できないのだろうか?
(ここでは、説明を簡潔にするため、英語を例に取ることにする。)

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外国語学習 日本語とは違う世界観を知る

フランスでフランス人と話してるとき、すぐに答えられない質問をされることがある。
例えば、「神戸に住んでいる。」と言うと、「東京から何キロ離れているのか?」と質問されたりする。
もう一つよく質問されるのは、「最初にフランスに来たのはいつ?」
その際には、10年くらい前とか、曖昧な答えしかいえない。

フランス人に同じ質問をすれば、「神戸と東京間は約500キロ」とか、「最初は2012年。」とか、きっちりした答えが戻ってくる方が普通。

こうした違いは何を意味し、そのことから、どんなことがわかるのだろうか。

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フランス語の冠詞 les articles du français

フランス語の冠詞は、二つの基準を導入して考えると、理解しやすい。

1)限定する名詞が数えられるか(可算名詞)、数えられないか(不可算名詞)
2)全部を指すのか、一部を指すのか。

数えられる名詞の場合 :定冠詞/不定冠詞
数えられない名詞の場合:(定冠詞)/部分冠詞

全部を指す場合、定冠詞。
部分を出す場合、不定冠詞/部分冠詞。

1)加算名詞2)不可算名詞
全部定冠詞(定冠詞)
一部不定冠詞部分冠詞
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名詞の単数と複数

夏目漱石『草枕』の訳者と話をしている時、彼女が面白いことを言っていた。
これまでの仏訳では、Oreiller d’herbesと、草を意味するherbeは複数形だった。でも、herbeは単数形でないとおかしい。
実際、出版された彼女の訳では、herbeは単数形になっている。

普通に考えると、名詞の単数と複数はとても単純で、一つなら単数、それ以外は複数。それで何の疑問もないと思い込んでいる。
しかし、英語やフランス語の文を書く時に、単数にするのか複数にするのか迷うことがある。
そこに冠詞の問題がからみ、正解がわからないことが多くある。
名詞の数は、本当に数だけの問題なのだろうか?

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フランス語の語順

時間軸に従って次々に単語を並べていくことで、文章が形作られる。
その際、最初に置かれる要素と、後ろに置かれる要素では、役割が違っている。

最初に置かれる要素は、話し手(書き手)と聞き手(読み手)の間で共有されることになる話題を提示する。
これから何を話すかというテーマ。

後ろに置かれるのは、話題の中で焦点となる事柄。伝えたいこと、知りたいことの中心であり、結論。

一般的に、文の前に置かれる要素が旧情報だとすると、文の後ろには新情報を伝える要素が置かれる。

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動詞と名詞 概念と具体化

文を作る要素の中心は、動詞と名詞。
多くの場合、動詞は活用され、名詞には冠詞などの限定詞が加えられて、文の中で機能を果たす。
では、活用や冠詞などはどのような役割を果たしているのだろうか。

Danserという動詞の原形(活用しない形)は、踊るという意味の概念を示している。
livreという名詞は、本という概念を示している。
概念は一般的な意味であり、現実の事象を表現しているのではない。

実際の事柄に言及する場合には、動詞を活用し、名詞に冠詞などを付けて概念を具体化する必要が出てくる。

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日本語の主観性

日本語はウチの言葉であり、お互いが同じ共同体にいることを前提としている。
https://bohemegalante.com/2019/04/17/japonais-langue-interieure/

そのことから二つの特色が派生してくる。
1)モノローグ的言語
2)臨場感

池上嘉彦の『日本語と日本語論』の助けを借りて、この二つの点について考えてみることにする。

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接続法 直説法 条件法

フランス語の動詞には、直説法、条件法、接続法という3つの法がある。
それらは、動詞の活用という側面から見ると並行関係にある。しかし、表現する事柄から見ると、同列ではない。

動詞の活用に関して、形ではなく、意味について考えてみよう。

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条件法は難しい?

英語の仮定法を難しいと感じるだろうか?
もし難しいと思ったことがあるとしたら、その理由は、日本語と英語のコンセプトの違いを理解していなかったということにつきる。
もし、ifを用いた文が仮定法だと思い込んでいるようなら、全く理解していないことになる。

フランス語の条件法は、英語の仮定法と同じコンセプトに基づいているので、英語さえマスターしていれば、全く問題ない。
しかし、英語の仮定法がわかっていないとしたら、フランス語の条件法にトライする時、日本語とのコンセプトの違いを知っておく必要がある。

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