ボードレール 「旅への誘い」 Baudelaire « L’invitation au voyage » その3 散文詩(2/2)

Pieter Janssens Elinga, Interior with Painter, Woman Reading and Maid Sweeping

第6詩節では、室内の様子が絵画的に描きだされる。
ワルツへの招待に倣って言えば、絵画への招待。

 Sur des panneaux luisants, ou sur des cuirs dorés et d’une richesse sombre, vivent discrètement des peintures béates, calmes et profondes, comme les âmes des artistes qui les créèrent. (以下録音の続き)Les soleils couchants, qui colorent si richement la salle à manger ou le salon, sont tamisés par de belles étoffes ou par ces hautes fenêtres ouvragées que le plomb divise en nombreux compartiments. Les meubles sont vastes, curieux, bizarres, armés de serrures et de secrets comme des âmes raffinées. Les miroirs, les métaux, les étoffes, l’orfèvrerie et la faïence y jouent pour les yeux une symphonie muette et mystérieuse ; et de toutes choses, de tous les coins, des fissures des tiroirs et des plis des étoffes s’échappe un parfum singulier, un revenez-y de Sumatra, qui est comme l’âme de l’appartement.

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ヴェルレーヌ「詩法」 Verlaine « Art poétique » 何よりも先に音楽を La musique avant toute chose

詩は大きく分けると、歴史や神話を語る叙事詩と、個人の思いや感情を吐露する抒情詩に分類される。
19世紀のフランスでは、抒情詩が詩の代表と考えられるようになり、それに伴い音楽性がそれまで以上に重視されるようになった。
とりわけ、19世紀後半の詩人達、ボードレール、ヴェルレーヌ、ランボー、マラルメたちの詩句は音楽的である。

ポール・ヴェルレーヌの「詩法」« Art poétique »は、「何よりも先に、音楽を」という詩句で始まり、抒情詩=音楽の流れを見事に表現している。

実際、ヴェルレーヌ自身大変に音楽的な詩人であり、彼の詩は数多くの作曲家によって曲を付けられ、現在でもしばしば歌われている。
https://bohemegalante.com/2019/04/13/verlaine-musique-philippe-jaroussky/

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天空の城ラピュタ 生命の根源への旅

「天空のラピュタ」で宮崎監督が目指したのは、パズー少年を中心にし、愉快で、血わき、肉おどる、古典的な冒険活劇だという。この映画の企画書には、次のような言葉が書き留められている。

パズーが目指すものは、若い観客たちが、まず心をほぐして楽しみ、喜ぶ映画である。(中略)笑いと涙、真情あふれる素直な心、現在もっともクサイとされるもの、しかし実は観客たちが、自分自身気づいていなくても、もっとも望んでいる心のふれあい、相手への献身、友情、自分の信じるものへひたむきに進んでいく少年の理想を、てらわずにしかも今日の観客に通じる言葉で語ることである。

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ヴェルレーヌのコレスポンダンス 「クリメーヌに」 Verlaine, « À Clymène »

「クリメーヌに」« À Clymène »は、数あるヴェルレーヌの美しい詩の中でも、最も美しい。しかも、その土台には、ボードレールから受け継いだコレスポンダンスの思考があり、それを音楽的に表現している。

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ボードレール「コレスポンダンス」(万物照応) Correspondances

ボードレールの「コレスポンダンス」« Correspondances »は、19世紀以降の文学を理解する上で最も重要な詩だといえる。この詩の中に象徴の森という言葉があり、19世紀後半には、象徴主義のマニフェストとさえ見なされた。

コレスポンダンスとは本来、地上と天空の対応を意味し、ルネサンス思想の中心的な概念だった。

占星術において、星の動きから人間の人生や社会の出来事を予測することができるとしたら、星と人間界の間に対応関係があるからだということになる。

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