マリー・ド・フランス すいかずらの短詩 12世紀文学への最初の一歩

12世紀のフランス文学がどのようなものだったのか、フランス文化に親しんでいる人間であれば、誰でも興味があるだろう。
しかし、知識のないまま読んでみて、最初から楽しさを感じるのは難しい。

「恋愛は12世紀フランスの発明品」という有名な言葉があり、恋愛について考えたり、話のネタにはなりそうなのだが、実際に作品を読むと現代の読者には味気なく感じられるかもしれない。

日本では万葉集や古今和歌集の伝統が8世紀から続き、11世紀にはすでに『源氏物語』が書かれている。平安時代の日本文化は世界でも最高水準に達していたと言っても過言ではない。
そうした繊細でニュアンスに富んだ恋愛を描いた日本文学に比べ、12世紀フランスの恋愛物語から心の機微を感じることはまれで、恋愛小説的な面白さを求めてもがっかりすることになるだろう。

逆に言えば、アプローチする場合には、それなりの知識や読む技術が必要になる。
ここでは、翻訳でわずか5ページに収まる、マリー・ド・フランスの短詩「すいかずら」を読み、12世紀フランス文学への第一歩を踏み出してみよう。

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