ピカソ 常に新しい絵画を求めた画家

パブロ・ピカソ(1881-1973)は常に新しい美を追究し、次々に絵画の様式を刷新した、20世紀を代表する画家として知られている。

実際、彼の画風は、スペインにおける「修行時代」を経て、パリに進出してからもめまぐるしく変化した。「青の時代」「バラ色の時代」「キュビスムの時代(セザンヌ的、分析的、総合的)」「新古典主義の時代」「シュルレアリスムの時代」「ゲルニカの時代」「ヴァロリスの時代」「晩年」といった区分けがなされることが多い。

ところが、この分類で気になることがある。
キュビスム、新古典主義、シュルレアリスムは絵画の様式だが、それ以外の、青の時代とバラ色の時代は色彩、ゲルニカの時代は戦争の惨禍という絵画のテーマ、ヴァロリスは地名、晩年は人生の最後の期間であり、様式とは関係がない。
そこで、こんな疑問が生じる。本当にピカソは次々と作風を変化させたのだろうか?

その疑問を考えるために、彼のキャリアの最初から最後までの何枚かの絵画を、先入観なしで見てみよう。

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アポリネール 「大道芸人たち」 Apollinaire « Saltimbanques » 新しい芸術に向けて

1913年に出版された『アルコール(Alcools)』に収めらた「大道芸人たち(saltimbanques)」は、ギヨーム・アポリネール(Guillaume Apollinaire)による’芸術家の肖像’あるいは’芸術観’を表現した詩だと考えられる。

一行8音節の詩句が4行で形成される詩節が3つだけの短い詩。
韻の連なりはAABBと平韻。AAは男性韻、BBは女性韻と非常に規則的。
非常に簡潔な詩の作りになっている。
唯一の特色は、『アルコール』の他の詩と同じように、句読点がないこと。

内容に入る前に、詩の音楽性を感じるため、意味にこだわらずに朗読を聴いてみよう。

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本質的なものは目に見えない(サン=テグジュペリ)? 存在は本質に先立つ(サルトル)? 二つの世界観と絵画の表現

1910年に描かれた2枚の絵がある。

これほど違う世界観を表現している絵画が同じ年に描かれたことに、驚かないだろうか。
一方には、モンマルトルの街角が再現されている。この場所に行けば、今でもそれとわかるだろう。
もう一方は、何が描かれているのかまったく分からない。ギタリストという題名を見て人間やギターの姿を探しても、立方体の塊しか見えない。モデルになった人と出会っても、認識することは不可能である。

この対照的な2枚の絵画を参照しながら、サルトルとサン=テグジュペリによって示された二つの世界観について考えてみよう。
L’essentiel est invisible pour les yeux. (本質的なものは目に見えない。)
L’existence précède l’essence. (存在は本質に先立つ。)

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先史時代のヴィーナスと20世紀芸術

2019年6月27日のFrance 2 20時のニュースで、先史時代の彫像と20世紀芸術についての紹介をしていた。

https://www.francetvinfo.fr/economie/emploi/metiers/art-culture-edition/sculpture-cette-venus-de-la-prehistoire-qui-a-revolutionne-l-art-du-xxe-siecle_3510891.html

Vénus de Lespugue
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