プラトン的二元論から一元論的世界観(現前性)への大転換

19世紀の後半、ヨーロッパでは世界観の大きな転換があり、古代ギリシアのプラトンに始まり、ルネサンスを通して19世紀前半まで続いてきた世界観が大きく揺らぎ始めた。

フランスでは、その転換点に、シャルル・ボードレール、ギュスターヴ・フロベール、エドワール・マネたちが位置していた。
彼らの作品は、自分たちの時代の事物や出来事をテーマとして選択したが、その再現を目的とするのではなかった。
むしろ現実の再現を止め、現実から自立し、作品自体が現実とでもいえるものの創造を目指した。

端的に言えば、そこで生成されつつあったのは、現実とフィクションの区別をするのではなく、フィクションも一つの生命を有する現実と見なす一元論的世界観だった。

その大転換を理解するために、プラトニスムの転倒を企て、それに苦しみ、最後は狂気に陥った哲学者ニーチェについて書かれたマルティン・ハイデッガーの文章を読んでみたい。

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ボードレール「窓」 Baudelaire « Les Fenêtres » 生の生成

「窓(les Fenêtres)」は、1863年12月10日に「小散文詩(Petits Poèmes en prose)」という総題の下で発表された散文詩の一つであり、ボードレールの創作活動の中でかなり後期に位置する。
それだけに、ロマン主義から出発した彼の芸術観に基づきながら、19世紀後半以降の新しい世界観をはっきりと意識し、明確に表現しうる段階に来ていたことを証す作品になっている。

ロマン主義からモデルニテと呼ばれる新しい芸術観への変遷を最も端的に表現すれば、プラトニスム的二元論から、感性的現実と理念的理想の区分を想定しない一元論への大転換ということになる。
芸術は現実の理想化された再現であることをやめ、創造された作品自体が第一義的な価値を持つと考えられる時代になる。

Les Fenêtres

Celui qui regarde du dehors à travers une fenêtre ouverte, ne voit jamais autant de choses que celui qui regarde une fenêtre fermée. Il n’est pas d’objet plus profond, plus mystérieux, plus fécond, plus ténébreux, plus éblouissant qu’une fenêtre éclairée d’une chandelle. Ce qu’on peut voir au soleil est toujours moins intéressant que ce qui se passe derrière une vitre. Dans ce trou noir ou lumineux vit la vie, rêve la vie, souffre la vie.

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