「女人訓戒」 太宰治による読書レッスン 

太宰治の「女人訓戒」はわずか数ページの作品だが、読んでいると思わず笑ってしまう。

人間は何かを思い込むと、とんでもない行動をすることがある。太宰はそうした例を次々に挙げ、きっかけとなることとその結果の取り合わせの滑稽さを浮かび上がらせる。

その最初の例として提示するのが、日本で最初にフランス文学教授になった学者の書いた本で、兎の目を移植された女性が猟師を恐れるようになったという面白いエピソードが引用される。
興味深いのは、教授の本の引用をした後、太宰は自分なりの推論を展開すること。そうしたやり方は、彼がどのように本を読むかを示す一つの例と考えられる。
別の見方をすると、太宰治が私たちに読書のレッスンをしてくれている、とみなすこともできる。

「女人訓戒」は「あおぞら文庫」に収録されているので全文を簡単に読むことが出来るし、youtubeに朗読(15分)もアップされている。短い作品だし、滑稽さが日々のストレスを一瞬だけでも忘れさせてくれるのも楽しい。
ただし、例がすべて女性に関係し、最後は女性に対する教訓といった体裁を取るので、女性差別といった目線で読んでしまう危険がある。そうなると作品の面白さが一気に消えてしまうので、注意しておきたい。

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