ゾラとクールベ Émile Zola et Gustave Courbet 新たな現実の創造 

エミール・ゾラは小説家として知られているが、美術批評も手がけている。

ゾラが最初に試みたのは、社会主義者ピエール・ジョゼフ・プルードンの芸術論を批判し、ギュスターヴ・クールベを取り上げながら、自分の絵画論を展開した「プルードンとクールベ(Proudhon et Courbet)」。
1866年に出版されたもので、ゾラの創作活動の初期の著作。それだけに、彼の芸術論が簡潔にかつ明確に述べられている。

ゾラの主張を一言でまとめれば、絵画にとって重要なのは描かれた対象ではなく、絵画そのもの。絵画とは「線と色彩の芸術(art des lignes et des couleurs)」であり、絵画の目的は、モデルを再現することではなく、一人の芸術家が1枚の絵という新しい現実に生命を与えること。

こうした主張を実現した絵画として、ゾラは1850年前後に描かれたクールベ初期の作品を取り上げる。

Gustave Courbet, Un enterrement à Ornans
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風立ちぬ 生きることと美の探究と

「風立ちぬ」は、「紅の豚」の延長線上にあるアニメだといえる。

主人公の堀越二郎は、飛行機の設計技師。彼の友人である本庄は、兵器としての戦闘機を制作し、彼の爆撃機は殺戮兵器として空を飛ぶ。
それに対して、二郎は、「ぼくは美しい飛行機を作りたい。」と言い、実用ではなく、美を追い求める。

そうした対比は、「紅の豚」においては、イタリア軍のエースパイロットであったマルコと、軍を離れ自由に空を飛ぶことの望むポルコの対比として表されていた。
https://bohemegalante.com/2020/03/12/porco-rosso/

そうした類似に基づきながら、「風立ちぬ」では、美にポイントが置かれ、さらに、二郎と菜穂子の恋愛物語が、もう一つの側面を形成している。

その恋愛物語は、堀辰雄の『風立ちぬ』に多くを負いながら、生と死の複雑な関係を通して、生きることの意味を問いかけている。

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