雌猫アカの世界 神秘主義について その1

アカは街角に住む雌の猫。
1月1日、「明けましておめでとう。」と新年の挨拶をする。すると、アカも「ニャア」と答えてくれる。
彼女も人間と同じように、元日の朝は普段より清々しく感じるのだろうか。

でも、アカにとっては、初日の出も、普段の日の出も特別な違いはないだろうなと、考え直す。
猫にカレンダーはないし、もしかしたら朝も昼も夜もないかもしれない。
あるのは、太陽の光の温かさ、空気の冷たさ、空腹等といった体感。近づいてくる人間や、一緒に街角にいる猫仲間に対する好き嫌いの感情。アカはとりわけ嫉妬深い。他の猫が撫でられていると、ひどく嫉妬し、猫パンチを繰り出す。

そんなアカの世界はどのようなものだろう。

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無の美学 禅寺と枯山水

足利尊氏は統治政策として禅宗を重用し、支配制度を強化した。そのために、日本各地に禅寺の伽藍形式が広まった。
その過程で、僧の住居となる方丈などの庭園には、枯山水が好んで作られた。

禅宗様(ぜんしゅうよう)の建築物に禅の精神が貫かれているかどうかを知るのは難しいが、枯山水が禅的な無の思想に基づいていることを理解するのは比較的容易だろう。

ちなみに、14世紀後半に建造された金閣寺は、一階が和洋の住宅風、二階が和洋の仏堂風、三階が禅宗様(ぜんしゅうよう)の仏殿風という、折衷様式。

15世紀後半に建造された銀閣寺は、一階が和風の住宅、二階が禅宗様の仏道。こちらも二つの様式が共存している。

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無の美学 禅と日本的美 序

日本的感性は、文献が残る奈良時代以来、はかなく、束の間の存在に美を見出してきた。平安時代には、もののあわれという美的感性も誕生する。

他方で、禅宗が本格的に日本に受容されたのは、13世紀の鎌倉時代であり、南北朝や室町時代にいたって世俗化する。
その過程で、諸行無常の感覚と禅的な無が結びつき、様々な形で具体化した。

14世紀以降、禅宗の寺院建築と石庭、枯山水が盛んに作られるようになる。
その内部に飾られるのは、水墨画、山水画、詩画軸。
能は、世阿弥によって飛躍的な発展を遂げ、舞台、能面、衣裳等も含め、総合芸術へと発展する。
佗び茶も総合芸術だ。茶室、掛け軸、陶器、生け花、そして会話術が一体となり、美の美学を生きたものとした。

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