ボードレール 「旅への誘い」 Baudelaire « L’invitation au voyage » その1 韻文詩

「旅への誘い」は、フランス語で書かれた詩の中で、最も美しいものの一つ。
音楽性、絵画性が素晴らしく、女性に対する愛のささやきが、美に直結している。

その美は現代にも通じ、Louis Vuitton が、David Bowie を使い、L’Invitation au voyageというイメージ・ビデオを作ったことがあった。

ボードレールはこの詩を最初に韻文で書き、次に散文でも同じテーマを扱った。そのことは、詩とは韻文で書かれるものであるという、フランス詩の伝統への挑戦だった。
散文でも詩を書ける。つまり散文詩を文学のジャンルとして成立させる試みだった。

ここでは、韻文の「旅への誘い」をまず読んでみよう。

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詩は世界を美しくする  ネルヴァル ボードレール 村上春樹 ビリー・ホリデー

詩は世界を美しくする。

芸術家、詩人は、自分の世界観(ボードレールの言葉では「気質」tempérament)に従って、作品を生み出す。
私たちは、その作品に触れることで、芸術家の世界観に触れ、感性を磨いたり、彼等のものの見方、感じ方を身につけることができる。

詩においても、そのことを具体的に体験することができる。

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無の美学 禅と日本的美 序

日本的感性は、文献が残る奈良時代以来、はかなく、束の間の存在に美を見出してきた。平安時代には、もののあわれという美的感性も誕生する。

他方で、禅宗が本格的に日本に受容されたのは、13世紀の鎌倉時代であり、南北朝や室町時代にいたって世俗化する。
その過程で、諸行無常の感覚と禅的な無が結びつき、様々な形で具体化した。

14世紀以降、禅宗の寺院建築と石庭、枯山水が盛んに作られるようになる。
その内部に飾られるのは、水墨画、山水画、詩画軸。
能は、世阿弥によって飛躍的な発展を遂げ、舞台、能面、衣裳等も含め、総合芸術へと発展する。
佗び茶も総合芸術だ。茶室、掛け軸、陶器、生け花、そして会話術が一体となり、美の美学を生きたものとした。

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芸術のために

芸術の種類

芸術にはどんなものがあるか、思い出しておこう。

映画を第七の芸術と呼ぶことがある。
(1)建築、(2)彫刻、(3)絵画、(4)音楽)、(5)ポエジー(詩、文学)
これらは、物質的な側面の強いものから精神的な側面が強いものへという順番に従って、ヘーゲルが列挙したものである。
(6)ダンス(舞踏)、(7)映画

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ジブリ・アニメの中の自然

ジブリのアニメの中で、自然が大きな役割を果たしていることはよく知られている。そこで、日本における自然の概念と合わせて、「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」を通して、宮崎駿監督の描く自然について考えてみよう。

宮崎監督は、「海外の記者が宮崎駿監督に問う、『もののけ姫』への四十四の質問」と題されたインタヴューの中で、アニメの中の自然はについて、次のように答えている。

現実の森を写生したものではなく、日本人の心の中にある、古い国が始まる時からあった森を描こうとした。(『ジブリの教科書10 もののけ姫』)

心の中にある森は、日本人の信仰とも関係している。

日本人の神様ってのは悪い神と善い神がいるというのではなくて、同じひとつの神があるときには荒ぶる神になり、あるときには穏やかな緑をもたらす神になるというふうなんですね。日本人はそういうふうな信仰心をずっと持ってきたんですよ。しかも、現代人になったくせにまだどこかで、いまだに足を踏み入れたことのない山奥に入っていくと、深い森があって、美しい緑が茂り、清らかな水が流れている夢のような場所があるんじゃないかという、そういう感覚をもっているんですね。そして、そういう感覚を持っていることが、人間の心の正常さにつながっているような気がしています。(・・・)それは一種の原始性かもしれませんが、人間が生きるために自然環境を保護しようという以前に、自分たちの心の大事な部分に森の持つ根源的な力みたいなものが生きている民族性でもあるんですよ。(『清流』1997年8月号)

そうした森や自然が、ジブリ・アニメの中ではどのように描かれているのだろうか。

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幽玄の美へ 鎌倉リアリスムから北山文化、東山文化へ

平安貴族の優雅な世界から武士を中心とする鎌倉時代へと移行するのに伴い、美の概念も大きく変化した。
(平安時代までの美の変遷については、以下の項目を参照。)
https://bohemegalante.com/2019/02/26/genese-de-la-beaute-japonaise/

私たちが日本の文化の特色と考える、簡素さ、幽玄、無に基づく美意識は、鎌倉時代を経て、室町時代に形成されたと考えられる。
そして、そのために禅の果たした役割は非常に大きい。禅宗は13世紀中頃に日本文化に決定的な影響を及ぼし、水墨画、能、連歌、枯山水等の発展を促した。

12世紀の終盤に始まる鎌倉幕府の時代から、銀閣寺に代表される東山文化が桃山美術に移行する16世紀後半までの約400年間弱における、美の動きを見ていこう。

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和様式の美の形成 飛鳥時代から平安時代へ

日本の美と感じられる美が出来上がったのは、縄文、弥生、埴輪時代の後のことになる。6世紀半ばに仏教が伝来して以来、飛鳥時代から平安時代末期まで(538-1192)の約650年の間、大陸から移入された仏教美術が圧倒的な流れとなって押し寄せてきた。それは、寺院、彫刻、絵画、工芸品等、全てを含む総合芸術だった。
その受容を通して、飛鳥、白鳳、天平、貞観、藤原、院政まで、朝鮮、中国とは違う美が生まれた。万葉仮名から平仮名が作られ、和歌が生まれ、大和絵や絵巻物等が誕生したのだった。それと同じように、仏教芸術にも和のテーストが付け加えられていった。

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