
散文詩「犬と香水瓶(Le Chien et le Flacon)」の中で、ボードレールは、香水のかぐわしい香りよりも汚物を好む犬の姿を描く。
その嫌みは、韻文詩「アホウドリ(L’Albatros)」の中で船乗りたちに揶揄されたアホウドリの反撃と見なすことができる。
その詩で歌われる香水瓶が、1857年に出版された『悪の華(Les Fleurs du mal)』だとすれば、「犬と香水」は、詩集を裁判にかけ、罰金刑を科し、6編の詩の削除を命じた判決を行い、それを支持した人々に対する嫌みとして受け取ることもできる。
犬の悪趣味に対する攻撃。言葉は直接的で、ボードレールの生の声が聞けるような感じがする。
最先端の芸術家は、その新しさのために社会には理解されない。自分たちの優越性を心の片隅で信じながら、時にはこんな風に、自分を認めない相手に思い切り毒づくこともあるのだろう。