
ある調査結果で、Wikipediaの信頼性は「ブリタニカ百科事典」と同等だとされたことがある。
ただし、それは英語版の調査であり、日本語のページに関しては、「秀逸」や「良質」のマークのついた記事もあるが、多くの場合、紙ベースの事典に匹敵するところまでいかないのが現実だろう。
また、外国の事象や人物の記述に関して、日本のページには項目がないものもある。
例えば、オランダの画家Jacobus Vrelについての記述は、日本版のWikipediaにはない。
そこで、英語版やフランス語版など、日本語以外の記述を参照することになる。
その際、現在では、AIの翻訳機能により、外国語を瞬時に日本語に翻訳することが可能で、理解をおおいに助けてくれる。

私の知る範囲では、ブラウザーでChromeを使っている場合、英語、ドイツ語、イタリア語などから日本語への翻訳が可能。しかし、フランス語から日本語への翻訳は、なぜかできない。

それに対して、ブラウザーでEdgeを使うと、フランス語から日本語への翻訳も可能になる。
また、フランス語→日本語の場合、翻訳が多少分かりづらく不正確なこともある。そうした場合には、多少面倒でも、ChatGPTを使い、フランス語→英語→日本語と、一度英語を通すと改善する例も見られる。
以下、WikipediaのJacobus Vrelの項目を使い、実際のところを見ていこう。
(1)Chromeの場合

右上にある枠の中で、「日本語」をクリックすれば、瞬時に日本語になる。

Wikipediaの言語は、Jacobus Vrelの項目は6 languages。ドイツ語、イタリア語などを選ぶと、英語と同様に日本語への翻訳が可能になる。
しかし、なぜかわからないが、フランス語への翻訳はできない。
(2)Edgeの場合

翻訳のターゲット言語を「日本語」にして、「翻訳」をクリックすれば、日本語に翻訳される。

ChromeとEdgeの翻訳を見ると、精度に違いがあることがわかる。
例えば、最後の部分、in three picturesの後ろに注 [ 5 ] 30とある。
Chromeの翻訳では、注を理解して、「3枚の写真」となっているが、Edgeでは、後ろの数字を本文に入れ、「30枚の写真」と誤った訳文になっている。
従って、英語→日本語の場合、現状では、Chromeを使用した方がいいことになる。
。。。。。
次に、フランス語から日本語の場合を見ていこう。
wikipediaの英語ページとフランス語ページでも、項目により記述の差があり、Jacobus Vrelに関しては、フランス語版の方が充実している。

ターゲット言語を「日本語」にして「翻訳」をクリックすると、翻訳が瞬時に行われる。

Chromeではできなかったフランス語→日本語の翻訳が可能なのは、Edgeの大きなメリット。
ただし、すでに見たように、翻訳の精度や読みやすさに問題がないでもない。
そこで、多少面倒になるが、フランス語の文章をコピペして、ChatGPTに « Translate in japanese please. »と依頼してみよう。
まず、フランス語から日本語へ。

これでもいいのだが、英語を介し、フランス語→英語→日本語にすると、よりわかりやすい日本語訳が提示される。

AIの翻訳技術を使い、ここまでの出力結果が得られる。
そこで、私たちの役割は、出力された日本語を英語やフランス語と見比べ、内容を理解することになる。
そのように考えれば、AI翻訳は、決して万全ではないにしても、私たちにとって有益な道具だといえる。
AI翻訳とは直接関係ないが、Wikipediaに掲載された記事の質について、あまり意識されていないことがある。


Wikipediaの日本語ページに関して、質の高い記述の数は限られているという調査があるのだが、しかし、「秀逸」な記事や「良質」な記事もあり、そうしたページには印が付けられている。
例えば、「三島由紀夫」の項目には「秀逸」マークが、「宮沢賢治」の項目には「良質」マークが、ページの右上に見られる。


。。。。。
現代は様々な意見や感想を自由に発信できる時代だが、やはり最低限の知識の裏付けがあってほしい。そのために、Wikipediaの日本語の項目だけではなく、外国語のページも活用し、情報を収集するための第一歩を踏み出すのは決して悪いことではない。