ラ・フォンテーヌ博物館 Musée Jean de La Fontaine

パリから50分ほど電車に乗ると、シャトーチエリ(Château Thierry)に着く。
そこはジャン・ド・ラ・フォンテーヌの生まれ故郷。
彼の生家は、今、博物館として開放されている。
https://www.museejeandelafontaine.fr/?lang=fr

博物館の中に入ると、寓話の世界にどっぷりと浸ることができる。

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寓話「セミとアリ」 « La Cigale et la Fourmi »  ラ・フォンテーヌ『寓話集』への招待 Invitation aux Fables de la Fontaine

17世紀後半の作家ラ・フォンテーヌは、イソップの寓話をルイ14世が支配する宮廷社会の時代精神に合わせて書き直した。

1668年に出版された彼の『寓話集』は、六つの書に分けられ、それぞれの巻の最初には寓話というジャンルを説明する話が配置されている。
その中でも、「セミとアリ」は、「第一の書」の冒頭に置かれ、『寓話集』全体の扉としての役割を果たしている。

「セミとアリ」は、日本では「アリとキリギリス」という題名で知られている。
夏の間、キリギリスは歌を歌い、働かない。冬になり、夏働いていたアリに食べ物を分けてくれるように頼むが、もらうことができず死んでしまう。
このような話を通して、勤勉に働くことや将来を見通すことの大切さ等が、教訓として読み取られる。

ラ・フォンテーヌは、その物語の骨格に基づきながら、自分風に変えていく。

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ベティ・ブルー 37º2 Le Matin 激しく美しい愛の物語

1986年に公開された「ベティ・ブルー(37.2 Le Matin)」。フランスではキュルトゥ(culte、信仰)と言われ、今でも信奉者がいるほど、人々の記憶に強く焼き付いている。

ベティとゾルグが暮らす海沿いの風景の中に、サックスの曲が流れる。このシーンを体験するだけで、カブリエル・ヤレドの音楽とジャン=フランソワ・ロバンの映像が作り出す見事な世界を体感することができる。

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アメリ Le destin fabuleux d'Amélie Poulain 開く心

「アメリ(原題:アメリ・プランの不思議な運命)」は、主演のオドレイ・トトゥの独特な表現や彼女を取り囲む小物、赤と緑を基調とした色彩、パリを感じさせる街並み等のために、2001年の公開以来、現在でも人気がある。

物語は、アメリの恋物語を縦糸にし、彼女のかかわる人々の人間模様が横糸になる。

心を閉ざしたアメリは、ある事件をきっかけに人と関わり始める。それと同時に、インスタント写真を貼ったアルバムの謎を通して、ニノとの恋物語が語られる。
そうした展開の中で、閉ざされた心が外に開かれいていく過程が描き出され、多くの観客の共感を呼ぶことになった。

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最強のふたり Untouchable フランス映画入門に

最初に見るフランス映画として、「最強のふたり」は最適な作品だろう。

主人公の二人、車いすに乗ったフィリップと、彼の世話をする黒人のドリスの間に出来上がっていく心の絆は、他の人間からは触れられない、貴重なもの。

フランス語の題名Untouchable(触れてはならないもの)は、その二人の関係を示している。

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Chuya Nakahara « Voici venir les temps…. » Un héritage de Baudelaire

« Voici venir les temps…» de Chuya Nakaraha est un sonnet qui se montre à l’évidence comme un héritage de « Harmonie du soir » de Charles Baudelaire, dont voici les deux premiers vers :

Voici venir les temps où vibrant sur sa tige
Chaque fleur s’évapore ainsi qu’un encensoir :

Pourr afficher sa dette et sa lignée poétiques, Nakahara cite pour épigraphe une sorte de traduction de ces vers, accompagnée du nom du poète français, :

Voici venir les temps où chaque fleur se parfume dans un encensoir
Baudelaire

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ボードレール 夕べの諧調 Baudelaire « Harmonie du soir »

Eugène Boudin, Étude de ciel sur le bassin du commerce

「夕べの諧調」は、ボードレールの韻文詩の中で、最も美しく魅力的な詩の一つ。

一つ一つの言葉、言葉と言葉の繋がりが、音の点でも、意味の点でも、円やかなハーモニー(Harmonie)を奏で、私たちを恍惚とした美の世界へと導いてくれる。

詩の形態は、東南アジアのマレー半島で使用されたパントゥーム(pantoum)。一つの詩節から次の詩節へと、同じ詩句が次々に引き継がれ、戻ってくる。同じものの反復は、めまい、眩暈を惹き起こす。

音と意味の繋がりは、韻によって明確に示される。
女性韻 ige に関連する言葉は、揺れと固定、めまいとその跡を意味する。
男性韻 oirに関連する言葉は、宗教的な雰囲気をかき立てる。

女性韻:tige(枝)、vertige(めまい)、afflige(苦しめる)、se fige(固まる)、vestige(跡)。

男性韻:encensoir(振り香炉)、soir(夕べ)、reposoir(祭壇), noir(黒), ostensoir(聖体顕示台)。

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