
小林秀雄を読むのは、なかなか骨が折れる。高度な考察が書かれているらしいのだが、すっと理解できる文章ではないし、思考の流れも入り組んでいるように思われる。わからないまま、途中で投げ出してしまうこともあるだろう。
「無常という事」も、日本文化を理解するうえでキーワードとなる「無常」という言葉が題名に掲げられ、しかも2200字程度の短い批評なので、なんとか最後まで読もうと思うのだが、飛ばし読みしたり、途中で挫折してしまう読者も少なくない。
そこで、ここではまず、論理の組み立てをたどることから始めてみたい。
読み解くための第一歩は、「二つの対立する要素」が積み重ねられながら論が展開されている点に注目すること。語られている具体的な内容が、その二つのうちのどちらに分類されるのかを丁寧に区別していくのである。
その二項対立を意識したアプローチで読み進めていくと、小林の批評において中心的な意味を持つ「美」という言葉の本質が見えてくる。単なる字面にとらわれることなく、彼が言葉にどんな思想を託して読者に伝えようとしているのかが、徐々に理解できるようになるはずだ。
そして、「無常という事」という短い文章を理解することができれば、小林秀雄という日本を代表する批評家の思想の中核にも近づくことができるだろう。
続きを読む








