
「ボエム・ギャラント」の本文となる最初の一文は、とても短い。しかし、その短い一文の中に、ネルヴァルが込めた思いは驚くほど凝縮されている。そして、その一文を読み解いていくうちに、読者はいつの間にかネルヴァルの世界へと引き込まれていく。
C’était dans notre logement commun de la rue du Doyenné que nous nous étions reconnus frères — Arcades ambo —, bien près de l’endroit où exista l’ancien hôtel de Rambouillet.
ぼくたちが共同で住んでいたドワイヤネ通りの家で、ぼくたちは互いを兄弟だと認め合った。― アルカデス・アムボ(二人ともアルカディアの住人)。そこは、かつてランブイエ館があった場所のすぐ近くだった。
この短い一節の中には、古代、17世紀、そしてネルヴァルたちが生きた19世紀という、文学の中心となる三つの場所が示されている。そして、それらは、ネルヴァルがこれから青春時代の思い出を語ろうとする意図と深く結びついている。
その場所を古い順に並べると、次の様になる。
(1)Arcades ambo (二人ともアルカディアの住人):古代の理想郷アルカディア
(2)l’ancien hôtel de Rambouillet:かつてのランブイエ館
(3)notre logement commun de la rue du Doyenné:ぼくたちが共同で住んでいたドワイヤネ通りの家











