
「ボエム・ギャラント(La Bohême galante)」が目指した文学のあり方は、次の一文によって暗示される。
それは、ネルヴァルたちの若き日の詩(rimes)がgalantesと形容されていることからも推測できる。
Le vieux salon du doyen, restauré par les soins de tant de peintres, nos amis, qui sont depuis devenus célèbres, retentissait de nos rimes galantes, traversées souvent par les rires joyeux ou les folles chansons des Cydalises.
主席司祭の古いサロンは、たくさんの画家たち、ぼくたちの友人であり、その後有名になった連中の修復の手が加えられ、そこには、ぼくたちの優雅な詩が響き渡り、その響きはたびたびシダリーズたち(女優などをしている若い娘たち)の楽しげな笑い声や、羽目をはずした歌が交差していた。
アンリ・ミュルジェールの『ボヘミアンの生活情景(Scènes de la vie de bohème)』からもわかるように、ボエミアンとは、自由と芸術を愛して気ままに暮らす若くて貧しい芸術家たちのことだった。
ネルヴァルが描くのも、若い芸術家と、シダリーズたちとあだ名される娘たちの集団だが、そこで歌われるのは、単なる恋の歌ではない。それは、17世紀のギャラントリー(galanterie)や18世紀のフェット・ギャラント(fête galante)に連なる世界である。
そのことは、彼らの集う場所が「主席司祭の古いサロン(Le vieux salon du doyen)」とされていることによって暗示されていると考えられる。
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