(宮沢賢治 原体剣舞連 — 詩のリズム 1/3 舞手たちへの祈願 から続く)
オノマトペ — 3
ここで突然、他のオノマトペとはまったく異なるオノマトペが出現する。
Ho! Ho! Ho!
「ホッ!ホッ!ホッ!」という三拍のオノマトペは、詩人が踊り手たちに呼びかけた願いと、その後に続く部分との間にある場面の転換を示すものと考えられる。

このオノマトペについては、賢治自身が驚きを表す声として用いていたことをうかがわせる証言が残されている。

彼が原体村で剣舞を見たのは、大正6(1917)年8月28日から9月8日にかけて、友人たちとともに江刺地方で地質調査を行った際のことであった。その折、賢治は五輪峠で蛇紋岩脈にハンマーを打ち込み、飛び散る岩片を拾いながら、「ホー、ホー! 二十万年もの間隔の目を見ずに居たのでみな驚いている」と叫んでいたという。この思い出を、同行した友人の一人が後年語っている。
こうした証言を踏まえると、「Ho! Ho! Ho!」もまた、賢治が驚きを表すために用いた声と読むことができる。そして、その驚きが、次の詩句で突然姿を現す「悪路王(あくろおう)」に向けられたものと読むなら、このオノマトペは、前半の祈願の世界から後半の新たな場面へ移る転換点を告げる役割を果たしていることになる。そのように解釈することも、決して無理な読みではないだろう。
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