Chūya Nakahara « La Voix de la Vie »

Chūya Nakahara (1907-1937) est un poète lyrique, parfois qualifié de « Rimbaud japonais », pour ses traductions des poèmes en vers du poète français aussi bien que pour ses propres poèmes de tendance symboliste. 

Dans son enfance, il a su composer des tankas, chansons traditionnelles en 31 syllabes (5/7/5 7/7), dont certaines ont été publiées dans un journal local. 

En 1923, il a connu le mouvement du dadaïsme, et a entamé quelques poèmes de cette tendance à tel point qu’on l’appelait « dada-san »(Monsieur Dada). Puis, la lecture de Baudelaire, Verlaine et Rimbaud l’ont orienté vers un symbolisme, présenté par Arthur Simons dans Le Mouvement du symbolisme dans la littérature.

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ヴェルレーヌ 「月の光」 Verlaine « Clair de lune » ロココ的世界から印象へ

ヴェルレーヌの詩は音楽性が豊かだが、それと同時に絵画的表現にも富んでいる。

Antoine Watteau, Le Pèlerinage à l’île de Cythère

詩集『雅な宴』(Fêtes galantes, 1869)は、ロココ絵画の創始者であるアントワーヌ・ヴァトーが描いた優美な世界を再現し、その中で恋の始まりから終わりまでを描いている。

その詩集の冒頭を飾るのが「月の光 Clair de lune」。
優雅でありながらもの悲しく、美しい衣裳の下に決して明かせぬ本心を隠す、宮廷生活の雰囲気を見事に伝えている。

しかし、絵画的世界はいつの間にか音楽の世界へとつながり、ヴェルレーヌの世界に引き込まれてしまう。

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ラ・グルヌイエール美術館 Musée de la Grenouillère 印象派の美術館

モネとルノワールが一つの場面を描いたことで有名なラ・グルヌイエール。
ラ・グルヌイエール美術館には、残念ながら本物はないが、本物を思わせる見事な複製画が並べられている。

RERのA線で、パリから約15分程度の所にあるシャトゥ・クロワシ(Chatou-Croissy)下車。
ラ・グルヌイエール美術館までは、徒歩で10分くらい。
http://www.grenouillere-museum.com/grenouillere/

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印象派の島シャトゥとメゾン・フルネーズ

印象派の絵画が好きな人なら、ルノワールの「船遊びをする人々の昼食」を見た覚えがあるだろう。

Auguste revnoir, Le Déjeuner des canotiers

この絵の舞台となったレストランが、メゾン・フルネーズ。今でも営業している。
https://www.tripadvisor.jp/Restaurant_Review-g666520-d858570-Reviews-Maison_Fournaise-Chatou_Yvelines_Ile_de_France.html

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ヴェルレーヌ 「グリーン」 Verlaine « Green » 自然の感性

Auguste Renoir, Cueillette des fleurs

英語のgreen(緑)が題名になっているこの詩は、「ヴァルクール」と並んで、物憂さも、漠然とした悲しみもない。

https://bohemegalante.com/2019/07/27/verlaine-walcourt/

朝まだき、詩人は木や花の中で幸せに満たされ、愛する人の傍らで安らぐ。
その時、自然はヴェルレーヌの心と響き合い、恋人たちをつなぐ慎ましい贈り物になる。

Green

Voici des fruits, des fleurs, des feuilles et des branches
Et puis voici mon cœur qui ne bat que pour vous.
Ne le déchirez pas avec vos deux mains blanches
Et qu’à vos yeux si beaux l’humble présent soit doux.

Paul Cézanne, Fleurs dans un vase

グリーン

見てください。果物や花を、葉や枝を。
それから、わたしの心臓も。あなただけを想い、鼓動しています。
この心を引き裂かないでください、あなたの白い両手で。
あなたの麗しい目に、この慎ましい贈り物が、心地よくありますことを。

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ヴェルレーヌ 「ヴァルクール」  Verlaine « Walcourt » 印象派的

『言葉なきロマンス』に「ベルギーの風景」という章があり、その最初に置かれているのが「ヴァルクール」。

1872年、ヴェルレーヌはマチルドとの新婚生活を捨て、ランボーと共にベルギーに向かう汽車に乗り込んだ。

ブリュッセルに着く前に、彼等はヴァルクールという町を通りかかる。その時、詩人は幸福感に満ちあふれていたのだろう。
「ヴァルクール」には、いつもの物憂い悲しみなど、どこにも感じられない。屈託がなく、浮き浮きとした心が、そのまま表現されている。

その感情の動きが、印象派の絵画の手法と同調するかのように、小さなタッチで、素早く描かれている。

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ヴェルレーヌ 「巷に雨の降るごとく」 Verlaine « Il pleure dans mon cœur », Ariettes oubliées III 日本的感性?

Camille Pissaro, Avenue de l’Opéra, effet de pluie

ヴェルレーヌの「巷に雨の降るごとく」は、掘口大學の名訳もあり、日本で最もよく知られたフランス詩の一つである。

掘口大學の訳も素晴らしい。

巷に雨の降るごとく
わが心にも涙降る。
かくも心ににじみ入る
このかなしみは何やらん?

ヴェルレーヌの詩には、物憂さ、言葉にできない悲しみがあり、微妙な心の動きが、ささやくようにそっと伝えられる。
こうした感性は、日本的な感性と共通しているのではないだろうか。

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ラモー「夜の賛歌」 映画「コーラス」より

2004年にフランスで大ヒットした映画「コーラス」で歌われ、よく知られるようになった「夜」。
主人公の少年を演じたジャン・バチスト・モニエのボーイ・ソプラノが、いつまでも心に残る。

Ô Nuit ! Viens apporter à la terre
Le calme enchantement de ton mystère.
L’ombre qui t’escorte est si douce,
Si doux est le concert de tes voix chantant l’espérance,
Si grand est ton pouvoir transformant tout
en rêve heureux.

Ô Nuit ! Ô laisse encore à la terre
Le calme enchantement de ton mystère.
L’ombre qui t’escorte est si douce,
Est-il une beauté aussi belle que le rêve ?
Est-il de vérité plus douce que l’espérance ?

https://fr.wikipedia.org/wiki/Hymne_à_la_nuit
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ランボー 「酔いどれ船」 Rimbaud « Le Bateau ivre » 読み方の提案 2/2 天才ランボーを愛す

ランボーは、誰が何と言おうと、天才中の天才詩人。

生意気な少年で、伝統的な詩の規則を破り、汚い言葉を平気で使い、勝手な理論をでっち上げ、その場の勢いで、人を煙に巻くようなわけの分からない詩をでっち上げたに違いない。

普通なら、そんな詩はノートに書き付けられたまま、誰からも相手にされず、書いた本人からも忘れられてしまう。

ランボーが活字にしたのは、『地獄の季節』の一冊だけ。しかも、費用を払わなかったために、出版社の倉庫に積まれたまま、売りに出されることはなかった。
「母音」や「酔いどれ船」も含め、後の全ての詩は、ノートに書かれた状態でしか残っていない。
それにもかかわらず、彼はボードレールやヴィクトル・ユゴーと並び、フランス詩を代表する存在になっている。

それほどの天才の詩であれば、「酔いどれ船」がどんなに難しくても、やはりその良さを少しでも感じたいと思うのが、文学好きの宿命だろう。

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