Who can I turn to (when nobody needs me) 誰に頼れば?

« Who can I turn to (When nobody needs me) »は題名の通り、誰にも言えない気持ちを、愛する人に語るようでいて、実は自分にこっそりと語りかけている曲。
悲しいけれど、しっとりとし、美しい。

Tony Bennettの歌声を聴きながら歌詞を見てみよう。英語がやさしく聞こえる。(二重の意味で。)

Who can I turn to when nobody needs me?
My heart wants to know and so I must go where destiny leads me
With no star to guide me and no one beside me
I’ll go on my way and, after the day, the darkness will hide me

And maybe tomorrow I’ll find what I’m after
I’ll throw off my sorrow, beg, steal, or borrow my share of laughter
With you I could learn to, with you what a new day
But who can I turn to if you turn away ?

Tony BennettがBill Evansと共演した” Toghert Again “での演奏は、ピアノもリリカルで、悲しく、そして美しい(triste et beau)。

Bill Evansは、死の1年半ほど前、最後のトリオ(ベースMarc Johnson、ドラムスJoe La Barbera )でも、”Who can I turn to”を演奏していた。なんとその映像がyoutubeにアップされている!
1979年の演奏なのでテンポは速くなっているが、しかしリリカルなことに変わりはない。

Sarah Vaughanの歌声は、Tony Bennettとは随分と違っているが、でも胸の奥に深く染み込んでくることに変わりはない。

ボサノバ的なジャズで人気を博したAstrud Gilbertoの歌は、私には少し軽く感じられる。

インストゥルメンタルでは、まず、Oscar Petersonのピアノ・トリオを聴いてみよう。
原曲のメロディーを辿りながら、悲しみよりも、演奏の楽しさが感じられ、黒人たちが悲惨な状況の中、それでも陽気に演奏した、ジャズの原点を思わせる。

Dexter Dordonのテナー・サックスには、最初の1音からいかにもテナーという力強さがある。

Booker Littleのトランペットは、朗々と響き渡る。
ピアノTommy Flanagan、ベースScott La Faro、ドラムスRoy Haynesという素晴らしいメンバーだけれど、私の耳には曲の持つリリカルさがあまり感じられない気がする。

同じトランペットだけれど、デビューした頃のWynton Marsalisが1982年に録音した演奏は、ベースRon Carter、ピアノTony Williams、ドラムスLeslie Bricusseというメンバーに支えられ、曲のよさを活かしなが、« Who can I turn to»に新しい息吹を吹き込んでいる。

最初に紹介したTony Bennettは、1926年生まれ。80歳を超えた2010年前後にも彼よりもずっと若い歌手たちとのデュエットでこの曲を取り上げた。

“Duets II”でのQueen Latifahtとのデュエット。

“Viva Duets”でのGloria Estefanとのデュエット。

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