
何かができるようになるための最も効果的な方法は、習慣化することだ。習慣にしてしまえば、意識的に努力しなくても自然に繰り返せるようになる。そして続けているうちに、できるようになりたいと願っていたことが、気がつけば達成できている。
習慣については次のような研究がある。
「日常生活はどれくらい習慣でできているのか? ― エコロジカル・モーメンタリー・アセスメント研究」
(筆頭執筆者:アマンダ・L・リーバー〔Amanda L. Rebar〕、掲載誌 Psychology & Health、オンライン公開:2025年9月18日)
https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/08870446.2025.2561149
この論文によると、人間の行動のおよそ80%は、習慣としてスムーズに行われているという。
結論の部分だけ要旨すると次のようになる。
観察された行動の65%は習慣的に始まり、88%は習慣的に遂行され、76%は本人の意図と一致していた。
習慣性や意図との一致度は、年齢や性別といった属性によって大きな違いはなかった。
運動は他の行動に比べて「習慣として始まる」割合が高い一方で、「習慣としてスムーズに行われる」割合は低かった。
この研究結果に従えば、私たちの日常生活は、意識しないまま繰り返している行動で満ちている。
この事実は、何かを習得したい、あるいは成果を得たいと願うときに大きな示唆を与える。なぜなら、多くの人は「努力し続けなければならない」と考えがちで、その結果、疲れて継続が難しくなるからだ。
さらに「毎日同じことを繰り返すのは退屈だ」という先入観もある。変化を求めるあまり習慣が途切れ、また一から努力をやり直すはめになり、最終的には諦めてしまうことすらある。
「退屈な毎日」という言い古された言葉が誤りであることは、病気になったり、事故や災害に遭ったりすると、誰もが思い知る。というのも、「平凡」が失われたときにこそ、その「平凡」がいかに貴重なものであったかを痛感するからだ。
私たちの行動の大半が習慣によって支えられているとすれば、同じことを繰り返すのはむしろ自然なことだと理解できる。だからこそ、目標達成につながる行動を習慣の一部として組み込んでしまえば、努力や意志に頼らなくても自然に継続できる。
そのためには「規則性」が重要なポイントになる。目標に向けた行動を、毎日同じ時間に、同じリズムで繰り返すこと。これが、習慣をつくり出す最も効果的な方法なのだ。
最初は難しく感じるかもしれない。だが、習慣化とは本来、人間にとってごく自然な営みだと意識すれば、できるようになりたいことも無理なく身につけられる。
習慣化されていない段階では努力が必要だが、いったん習慣になってしまえば、あとはすべてが自動的に回り出す。そうなったとき、目標は思った以上に近い場所にある。