日本人にとって神(カミ)とは、どのような存在なのだろうか。

現代の私たちは、神と仏をほとんど区別せず、お寺でも神社でも手を合わせるし、キリスト教の教会やイスラム教のモスクに行っても、それぞれの場のしきたりや雰囲気に合わせて行動する。そうしたとき、何に対して祈っているのかを明確に意識することはあまりなく、お寺や神社、教会、モスクの神々を本当に信仰しているわけでもないだろう。
キリスト教やイスラム教では、神は唯一の絶対的存在であり、他の神の存在を認めることはない。それに対して、私たちはどのような神様も否定せず、特定の信仰対象とすることもなく、ただ「何となく拝む」ことに抵抗がない。
こうしたことは、善悪の問題ではなく、日本という土地で生まれ育った人間が、ごく自然に取ってきた行動にすぎない。そして、その行動の根底には、日本人が「神」という存在に対して抱いてきた、独特の感覚や意識があるのではないだろうか。
日本人にとって神とは、どのような存在なのか。それを知りたいと思うのは、そうした日本人の心のあり方を探ろうとする思いから生まれてくるのだ。
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