
トラウマという言葉を使うと心理学的な外傷体験を考えることになるが、外傷とまでいわなくても、思い出したくないことがふと頭に浮かんできて、嫌な思いをすることは誰にでもある。
なぜ不快な思い出が甦るのだろうか。しかも、1度だけではなく、何度も何度も反復して甦る。時にはその思い出に心が掻き乱され、他のことが考えられなくなったり、夜眠れなくなることがあるかもしれない。
その原因を知りたくて、ジークムント・フロイトの精神分析理論を調べたりしたのだが、快楽原則、現実原則、抑圧、反復脅迫、死の欲動など理解しないといけない概念設定が多く、しかも、納得できる部分とそうでない部分がある。
そこで、自分なりに、「なぜ嫌な思い出が蘇ってくるのか」という問題を、なるべく簡潔に考えてみることにした。