東洋的なるもの 鈴木大拙の教え

鈴木大拙(1870-1966)は、世界に禅を普及させた最大の功労者であり、Zenという言葉が世界中で通用するようになったのが大拙の功績であることを疑う余地はない。

ここでは、鈴木大拙が1963(昭和38)年に行った約50分間の講演を出発点として、「東洋的」な考え方、感じ方、言葉の使い方などについて考えてみよう。

この講演の中で、大拙は、「東洋的」と「西洋的」を対比しながら、以下のテーマについて説明を重ねていく。
1)英語と日本語の違いが明らかにする思考方法の違い:主語と目的語
2)概念的理解 vs 感情的感知
3)自然:nature vs 「自(おの)ずから然(しか)る」
4)自由:束縛からの解放 vs 「自(おの)ずに由(よ)る」

最初に注意しておきたいことがある。それは、「西洋」と「東洋」の違いを強調することで、お互いが理解不可能だというのではなく、違いを認識した上で、よりよい相互理解や調和を目指そうと呼びかけていることである。

続きを読む

鈴木大拙 宗教とは何か?

鈴木大拙は、禅の思想が世界的に知られるようになる上で、最も大きな役割を果たした宗教学者。

「世界人としての日本人」という自己認識を持つ大拙は、東洋と西洋を対立させる二元論に立つのではなく、二元論の根底にある「無」の思想を中心に置き、禅をはじめ日本の文化や思想を西洋に伝えた。
コロンビア大学で彼の講義を聴いた中には、作曲家のジョン・ケージや小説家のJ. D. サリンジャーがいた。サリンジャーの『フラニーとズーイ』の「鈴木博士」は、鈴木大拙のことだと言われている。

「宗教とは何か?」という問いに「正しい無限を感じること」と答える鈴木大拙の宗教観を、10分程度のインタヴューで知ることができる。