
政治は選挙によって選ばれた議員たちによって行われる。たとえ、政策の立案に関しては、選挙によって選ばれてはいない官僚によって行われるとしても、決定権は議会にある。
そして、その議会は、普通選挙によって「民意を得た」とされる代議士たちによって構成されるため、「民主主義」的な政治が行われると見なされる。
こうした仕組みは、「日本国憲法前文」で規定される基本的な考え方に基づいている。
「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、(後略)」。
しかし、政治家たちの発言や行動からは、彼らが本当に選挙で投票した人々の「代表」であるのかどうか疑われることがある。
柄谷行人は、投票する側と選ばれる側のつながりの曖昧さを指摘する。
真に代表議会制が成立するのは、普通選挙によってであり、さらに、無記名投票を採用した時点からである。秘密投票は、ひとが誰に投票したかを隠すことによって、人々を自由にする。しかし、同時に、それは誰かに投票したという証拠を消してしまう。そのとき、「代表するもの」と「代表されるもの」は根本的に切断され、恣意的な関係になる。したがって、秘密投票で選ばれた「代表するもの」は「代表されるもの」から束縛されない。(『トランスクリティーク』)
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