
フランスの18世紀は、ルイ14世の治世が終盤を迎えるところから始まり、フランス革命からナポレオンの登場で終わりを迎える。
一言で言えば、血縁に基づいた貴族の時代が終わり、ナポレオンという個人が能力を発揮して国家を支配できる時代が到来した。

こうした変化は、16世紀において「人間」という存在に価値があるという認識が行われ、17世紀になると全ての人間に「理性」が備わっているというデカルトの確認に続いて、実現されたのだと考えられる。
そして、18世紀に確立した人間観や世界観は、21世紀においても支配的な時代精神であり続けている。
その精神の根本にあるのは「幸福」の追求であり、「個人の自由」、「科学の進歩」等がその手段を支える思想となる。
しかし、興味深いことに、合理主義精神や科学主義が中心となる中で、「理性」よりも「非理性」に、「文明」よりも「未開」や「自然」に、「進歩」よりも「原初」に、「科学」よりも「神秘」や「超自然」に、価値を置く精神性が忘れられることはなかった。