
アメデオ・モディリアーニ(1884-1920)の肖像画や裸婦像は、一目見れば彼の作品だとわかるはっきりとした個性を持っている。その特色があまりにも強いため、モデルとなった人物やポーズの違いをのぞくと、どの絵も同じように見えるかもしれない。
しかし、1906年にイタリアからパリにやってきて、貧しい画家たちが集まるモンマルトルを中心に活動を始めた時から、1920年に亡くなるまでの間に描かれた作品を年代を追って見ていくと、かなり違っている。
例えば、1910年の「青いブラウスの女性」(下左)と1918年の「青い眼の女」(下右)。
どちらもブルーを基調にし、一人のほっそりとした女性が無地の壁あるいは扉の前に立っているという部分では共通しているが、2枚の絵画の美しさは随分と違っている。こう言ってよければ、「青い眼の女」の方がはるかにモディニアーニ的だ。
ここでは、そのモディリアーニ的な美とはどのようなものなのか、見ていくことにする。

