水墨画は、13世紀以降、禅宗の教えと共に日本にもたらされ、室町時代に大きな発展を見た。
水墨画の本質は、墨のみで「造花の真」を捉えることであり、知性的な分析を排して直感によって生の実在に至る禅の精神と対応しているといえる。
色彩を排し、物の本質に即した省略を行うことで、対象の直截的な把握を目指した。
最初に、宋本国以上に日本で人気を博した南宋の画家、牧谿(もっけい)の「叭々鳥(ははちょう)図」と、可翁(かおう)の「竹雀(ちくじゃく)図」を見ておこう。


二つの絵画の微妙な違いの中に、日本的な水墨画の特色を感じることができるかもしれない。
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