(4)天の岩戸(あめのいわと)

天岩戸(あめのいわと)の挿話は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が日の神であり、高天原(たかまがはら)を太陽の光で照らす主神であることを、国内外に宣言する役割を果たしている。
天照大御神は、素戔嗚尊(すさのおのみこと)が数々の乱暴を働いたことに怒り、岩でできた洞窟、すなわち天岩戸の中に身を隠してしまう。その結果、世界全体は闇に包まれ、永遠の暗闇が続くことになる。
そこで、多くの神々が工夫を凝らし、後の時代の宗教儀礼の起源を思わせるような行為を行うことで、天照大御神を天岩戸の外へと誘い出し、世界は再び光を取り戻す。
この大まかな挿話の流れは『古事記』と『日本書紀』に共通しており、天照大御神の存在と不在を対照的に描き分けることで、日の神が世界において果たす役割を明確に伝えている。
他方で、両書の間には明確な違いも認められる。一方が神々の世界の物語として語られるのに対し、他方では、天皇および豪族の祭祀を連想させる語り方がなされているのである。
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