
紀友則の有名な和歌「ひさかたの 光のどけき 春の日に しづごころなく 花の散るらむ」には、音と意味のつながりが感じられる。
和歌の分析ではあまり音に意識を向けることはないかもしれないが、フランス語の詩の分析では音と意味の関係に注目することがよくあるので、それに倣ってこの有名な和歌を見ていこう。
まず音に注目すると、語頭にハ行の音の反復が見られる。
ヒさかた ヒかり ハる ヒに ハな (ヒ・ヒ・ハ・ヒ・ハ)
もう一つの反復はノの音。
ひさかたノ ノどけき 春ノ 花ノ
こうした音の反復が、歌の意味に抑揚を与えている可能性がある。
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