
「黄金時代(Âge d’or)」は、ランボーの音楽性に富んだ詩の中でも、最も音楽性を感じさせてくれる詩。
詩句を口に出して発音すると、口の中に円やかな感覚が広がり、とても気持ちがよくなる。
他方で、何を言いたいのか考え始めると、訳が分からなくなる。
フランス人のランボー研究者でこの詩を大変に難しいという人が多くいる。
無理に解釈しようとすると、訳が分からなくなり、読むのが厭になるかもしれない。
詩句が奏でる音楽に身を任せ、Voix(声)という言葉が出てきたら、voixという音を口ずさみ、「声」と思うだけ。現実にある何かの声を探す必要はない。
詩は言葉によって成り立ち、詩の世界だけで自立している。「黄金時代」はそのことを実感させてくれる。