
「感覚(Sensation)」は、15歳のランボーが、高踏派を代表する詩人テオドール・ド・バンヴィルに宛てた1870年5月24日付けの手紙の中に同封した詩の一つ。
その手紙でランボーは、16世紀の詩人ロンサールを起源とし、ロマン主義から高踏派へと続く、「理想の美(la beauté idéale)」を追い求める詩人たちを真の詩人と見なし、その系譜の中に自分を位置づけている。
「感覚」はその言葉を証明するために同封された詩だった。
「感覚」の中で使われる動詞が全て単純未来で活用されるのは、「私(je)」の感じる幸福感が、これから実現されるはずの「理想」であり、15歳の少年詩人がその感覚に「美」を見出したことを示している。
Par les soirs bleus d’été, j’irai dans les sentiers,
Picoté par les blés, fouler l’herbe menue :
Rêveur, j’en sentirai la fraîcheur à mes pieds.
Je laisserai le vent baigner ma tête nue !
夏の真っ青な夕方、ぼくは小径を歩いて行くだろう、
麦の穂にちくちくさされながら、細い草を踏んで。
夢見心地の中で、草のひんやりとした感覚を感じるだろう、ぼくの足に。
風が浸すままにしておくだろう、帽子をかぶらないぼくの頭を!