
「シャルル・ボードレールの墓」の第2詩節の冒頭では、ガス灯に言及される。その後、ガス灯の光が照らし出すある存在にスポットライトが当たる。それをマラルメは「一つの永遠の恥骨(un immortel pubis)」と呼ぶ。
その二つの言葉の組み合わせは、ボードレールの詩的世界では、パリの街角に立つ娼婦を連想させる。
実際、「夕べの黄昏(Le Crépuscule du soir)」には、次のような一節がある。
À travers les lueurs que tourmente le vent
La Prostitution s’allume dans les rues ;
Comme une fourmilière elle ouvre ses issues ;
Partout elle se fraye un occulte chemin, (…).
風が苦しめる街灯の光を通して、
「売春」が、あらゆる道で火を灯す。
蟻塚(ありづか)のように、出口を開ける。
至るところで、隠された道を作る。(後略)
(参照:ボードレール 夕べの黄昏 (韻文詩) Baudelaire Le Crépuscule du soir 闇のパリを詩で描く)
マラルメは、こうしたボードレールの世界を参照しながら、以下の4行詩を書いたに違いない。
Ou que le gaz récent torde la mèche louche
Essuyeuse on le sait des opprobres subis
Il allume hagard un immortel pubis
Dont le vol selon le réverbère découche