ハウルの動く城 歩くことと家族の形成

「ハウルの動く城」は、公開時から人気を博し、観客動員数では「千と千尋の神隠し」に続いて2位になった。その一方で、批評はかなり厳しく、「ストーリー、とくに後半のストーリーがわかりにくい」、「盛り上がりに欠ける」、「分からないからつまらない」など、映画の評価としては過去最低だった。

確かに、見ていると楽しいけれど、映画全体を通して何を言いたいのかわからない。ストーリーを思い出すのが難しいほどだし、たくさんの謎がある。
ソフィーがおばあさんになったり、若返ったりする理由。
城の扉にある四色のボードと外の空間の関係。戦いの意味。
ハウルは誰と戦い、何のために戦っているのか。
なぜ城が動くのか。等々。

そうした中で一貫しているのは、「歩く」というテーマだろう。歩くことが、ハウルとソフィーの恋愛を成就させ、全ての混乱を収束させる力になる。

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万引き家族 言葉と現実

「万引き家族」は、親の死亡届を出さず、年金を不正に受給していた家族の実話に基づき、是枝裕和監督が家族のあり方を考えた映画だという。(wikipedia)

現在、実の親による子どもの虐待が度々ニュースで報じられる中、血の繋がらない大人と子どもが集まり、家族のように暮らす人々を描いたの映画。

家族は血が繋がっていると考えるのが普通の考え方。血縁関係にない人々がいかにも家族のように暮らしても、疑似家族にしかならない。家族のまねごと?

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