日本人の神とはどのような存在なのか、ここでは、複数性、姿形、霊力という3つの点を通して、検討していくことにする。
(1)八百万の神々

日本の神々は、無限に存在するといっていいほど数が多い。しかも、それらの神々には明確な序列があるわけではなく、神々全体を統一し支配するような超越神も存在しない。

古代だけでなく現代においても、私たちはどこかで、自然そのものが神であるかのように感じているのではないだろうか。
「雷神」や「風神」といった表現にも違和感はなく、少し前までであれば、「道の神(道祖神)」や「竈(かまど)の神」も身近な存在だった。
さらに今でも、私たちはどこにでも、何にでも神の気配を感じ、思わず手を合わせることがある。
山中の岩の窪みに供え物をし、古い巨木には注連縄(しめなわ)を張り、海中で並び合う二つの岩を「夫婦岩」と名づけ、漠然とではあるが信仰の対象としている。
三輪山、沖ノ島、那智の滝のように、特定の山や島、滝そのものが「ご神体」として崇められることもある。


