フランス語講座 シャルル・ノディエ 「1時あるいは幻影」 Charles Nodier « Une Heure ou la Vision » 2/4

フランス語を最も簡単に読む方法は、前から順番に理解し、決して日本語に訳そうとしないこと。

Mais j’étais obsédé de si tristes pensées, mon imagination se nourrissait de tant de funestes rêveries, que souvent, dans cet état d’exaltation involontaire, qui est familier aux âmes souffrantes, j’ai eu à repousser je ne sais combien de prestiges dont un moment de réflexion me faisait rougir. 

1)
Mais / j’étais obsédé / de si tristes pensées,

Mais (しかし)
j’étais obsédé (つきまとわれていた/苦しめられていた)
de si tristes pensées (悲しい考えに)

j’étais obsédé ;受動態。obséder (つきまとう、悩ませる、苦しめる);
時制はétais=半過去。状態を表す。

de:前置詞「に/で」:私を苦しめていたものの原因。

si ;とても。
si 形容詞や副詞を強調する際には、後ろにqueが来ることを予想すること。si…que… は、英語のso … that… と同じ。とても・・・なので・・・。

de tristes pensées :悲しみに満ちた考え

2)
mon imagination / se nourrissait / de tant de funestes rêveries,

mon imagination(私の想像力)
se nourrissait (養っていた/抱いていた)
de tant de funestes rêveries (多くの不吉な夢想に),

se nourrissait : nourrir :養う。se nourrir 自らを養う:時制は半過去。状態を表す。

de :「を/で」:想像力が自らを養っていたものの内容。
nourrir A de fruits :Aを果物で養う。Aに果物を与える。

tant de 名詞:たくさんの・・・。
tantの後には、queが来ることを予想すること。
tant de … que …。たくさんの・・・なので・・・。
構文的には、si … queと同じ。siの後は形容詞、副詞、tant de の後は名詞。

de funestes rêveries :不吉な夢想

3)
que souvent, / dans cet état d’exaltation / involontaire/, qui est familier / aux âmes / souffrantes,

que / si… que, tant de … que
souvent(しばしば)
dans cet état (この状態で)
d’exaltation(興奮、高揚)
involontaire (意図しない)
qui est familier(慣れた)
aux âmes(魂に)
souffrantes(苦しんでいる),

que : si … que / tant de … que / とても・・・なので・・・。

dans cet état :この状態で。状況の提示。
その状況の説明が、以下に続くexaltation。(興奮状態)
さらに、それが、自分の意志ではない(involontaire)ことが説明される。
日本語に訳すと、「意図せずに興奮しているこの状態」。単語の順番が逆転することに注意。

qui :cet état に説明を付け加えるための関係代名詞。
関係代名詞は、形容詞や前置詞+名詞と同じ役割を果たす。
ここでは、état d’exaltation /état qui est familier …

est familier à :・・・に慣れている。・・・にはいつものこと。
estはêtreの現在形。
苦しんでいる魂にとってその状態は、過去、現在、未来に関係なく、常に同じことなので、普遍的な状況を表すために、現在形が使われている。

souffrantes :souffrir (苦しむ)の現在分詞souffrant。âmes(魂)が、女性・複数名詞なので、語尾にesが付いている。

関係代名詞に注意!
日本語では名詞の説明は、全て名詞の前に置かれる。
英語やフランス語の関係代名詞は、名詞の後ろの置かれ、その名詞を文章で説明する。
そのために、「訳し上げて」理解しようとする習慣がついてしまっている。
「苦しんでいる魂にとっては慣れ親しんだ、意図せずに興奮したこの状態」
フランス語の語順はまったく逆。最初に「状態」が来て、その後に説明が続く。
« cet état d’exaltation involontaire, qui est familier aux âmes souffrantes »
前から文章を読みそのまま理解することの重要性は、この例からも明らかになる。

4)
que (…) j’ai eu à repousser je ne sais combien de prestiges dont un moment de réflexion me faisait rougir.

j’ai eu à (・・・しなければならなかった)
repousser (押し戻す、遠ざける)
je ne sais (+疑問詞:何だかわからない)
combien de(いくつ)
prestiges (幻)
dont :関係代名詞
un moment de réflexion (一瞬の反省)
me(私を)
faisait rougir(赤らめさせる).

j’ai eu à :que以下の文章の主語が je。

avoir à inf.:・・・しなければならない。
ai eu à :時制は、複合過去。現在ではすでに完了したことを示す。
時制に関しては、以下を参照。
https://bohemegalante.com/2019/05/17/systeme-temps-verbe-francais-1/

je ne sais combien de:どのくらいの数かわからないほどの・・・。
この表現全体が、repousserの目的語。

prestige :現在は、威厳、威光の意味で使われる。19世紀には、幻影(illusion)を意味した。

dont :prestigeに説明を加える関係代名詞。
後ろに続く文のどこかに、de の要素があることを示すために、dontが使われる。

un moment de réflexion me faisait rougir :
主語は、un moment de réflexion。
動詞がfaisait rougir(赤らめさせる。faireは使役。rougirはrouge(赤)くさせる)。
目的語はme。
faisaitは半過去。j’ai euと同じ時であることを示す。
日本語では、人間を主語にすることが多いので、「私は少し考えただけで赤くなった。」という表現が普通。
フランス語では、原因を主語にし、「一瞬の反省」を主語にし、その行為の及ぶ対象である「私」を目的語にすることがよくある。
un moment de réflexion me faisait rougir. 一瞬の反省が私を赤くさせた。

では、dont (de prestiges)とun moment de réflexion me faisait rougirとの関係はどのようなものなのか?
二つの可能性が考えられる。
a. réflexion de prestiges :幻影について考えてみること。
b. me faire rougir de prestiges :私を、幻影によって赤らめさせた。ーちょっと考えてみるだけで、数多くの幻影が思い浮かび、赤くなった。

どちらの意味で考えるにしても、関係代名詞dont以下の文を「訳し上げ」てはいけない。
フランス語をフランス語の語順で理解するためには、prestiges までで一旦理解する必要がある。
私は多くの幻を追い払わないといけなかった。/その幻のことをちょっとでも考えると、私は赤らむのだった。

単語の復習

名詞:une pensée, mon imagination, une rêverie, cet état, une exaltation, une âme, un prestige, un moment, une réflexion.

動詞:obséder, se nourrir de, souffrir, avoir à inf., repousser, faire rougir

その他:triste, funeste, souvent, involontaire, familier à, je ne sais combien de,
si … que, tant de … que,

文法

直接法現在:
時間に左右されない、普遍的な状況を示すことがある。

複合過去:
基本的には、完了の時制。
今の時点ですでに完了した行為であることを示す。

関係代名詞:
関係代名詞の役割は、形容詞と同じ。名詞に説明を加える。
日本語とフランス語の語順は反対なので、前から順番に理解する習慣を身につけることが大切。

補足
名詞と形容詞の順番


フランス語では、一般的に、形容詞は名詞の後ろに置く。
une exaltation involontaire
des âmes souffrantes

その理由はどこにあるのか?
フランス語では、最初に全体を示し、その後で詳細を付け加える傾向にある。
Je me trouve en France à Paris.
最初にフランスと言い、その中でどこにいるか示すために、パリと付け加える。
もしJe me trouve à Paris.と言った場合、フランスにいることは分かっているはずなので、en Franceを付け加えることはしない。
Je me trouve à Besançon, en France.
ブザンソンにいる。ブザンソンって、フランスにある。
ブザンソンを知らない人は多いので、あえて追加情報を加えることはありうる。

名詞と形容詞の場合。
Le soleil 太陽。
un soleil / rouge / jaune. 太陽に関して、赤い時/黄色い時。
太陽に関して、色が違う時があるので、その区別に重点を置いている。

形容詞を名詞の前に置く場合。
de tristes pensées
de funestes rêveries

この場合には、まずtristes / funestesという感情が示され、次に、悲しいものが何か、不吉なものが何かが明かされる。
tristeな感じの何?ー pensée(考え)- une triste / pensée
不吉な感じの何?ー rêverie(夢想)- une funeste / rêverie

une pensée triste / une rêverie funesteと言っても間違いではない。
違いは、ニュアンス。
une penséeがあり、それが楽しいものではなく、悲しいもの triste。
ある夢想があり、それが幸せなものではなく、不吉なもの funeste。

以上のように、名詞と形容詞の位置の変化によって、言葉のニュアンスが違ってくる。

そして、フランス語では、基本的には、後ろに置かれた言葉に重心が置かれる傾向がある。
https://bohemegalante.com/2020/01/29/ordre-des-mots-en-francais/

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