Jean-Jacques Goldman « Puisque tu pars » ジャン・ジャック・ゴルドマン 「君は去っていくから」 (Let’s talk about love)

ジャン・ジャック・ゴルドマンは、現代フランスでもっとも好まれる作詞・作曲家・歌手。
彼は素晴らしい歌をたくさん発表しているが、1988年の« Puisque tu pars »は、その中でも最高のものの一つ。

曲の内容は、コンサートの最後になかなか別れを告げられない観客に、ゴルドマンが語り掛けるもの。別れは決して悲しく辛いだけだけではなく、別れることが、他のところで別の出会いを見出す機会でもあるという。
歌詞はとても詩的で最初はよくわからないかもしれないが、何度も何度も曲を聴くと、忘れられないものになってくる。

ここで紹介する演奏は、2002年のコンサート・ツアーUn tour ensembleのフィナーレで歌われたもので、ゴルドマンはこのツアーを最後にコンサートを行っていない。その意味でも、« Puisque tu pars »に最も相応しいヴァージョンだといえる。

Puisque tu pars  君は去っていくから

Puisque l’ombre gagne
闇がやって来るから、
Puisqu’il n’est pas de montagne (il n’est pas … = il n’y a pas…)
山はないから
Au-delà des vents, plus haute que les marches de l’oubli (hauteは単数女性→montagne plus haute)
風の彼方に、忘却の歩みよりも高い(山はないから)
Puisqu’il faut apprendre
学ばないといけないから、
À défaut de le comprendre (à défaut de … ・・・がないとして)
それを理解できなくても、
À rêver nos désirs et vivre des “Ainsi-soit-il…” (apprendre à … ・・・を学ぶ)
ぼくたちの望みを夢見ることを、そして「(祈りの最後の言葉)かくあらしめたまえ,アーメン」を生きることを(学ばないといけないから)、
Et puisque tu penses
君は考えるから、
Comme une intime évidence
心の中ではっきりしたことみたいに、
Que parfois même tout donner n’est pas forcément suffire
時には、全てを与えるのが必ずしも十分ではないってことを(考えるから)、
Puisque c’est ailleurs (c’est…que… : estの後ろの言葉を強調する構文)
別の場所に、
Qu’ira mieux battre ton cœur (主語はton cœur)
君の心は鼓動しに行くのだから、
Et puisque nous t’aimons trop pour te retenir (trop… pour…. : あまりに・・・で、・・・できない)
ぼくたちは君のことがとても好きだから、君を引き留められないから、
Puisque tu pars
君は去っていくから。

Que les vents te mènent où d’autres âmes plus belles
風たちが君を運んでいってほしい、(ぼくたちよりも)美しい魂をもった人々が、
Sauront t’aimer mieux que nous
ぼくたちよりももっと上手に君を愛するところに(君を運んでいってほしい)。
Puisque l’on ne peut t’aimer plus (plus それ以上に。ne … plusではない。)
人が君のことをそれ以上に愛することはできないのだから。
Que la vie t’apprenne (que +接続法=命令を意味する)
人生が君に教えてくれますように、
Mais que tu restes le même
でも、君はずっと同じていてくれますように、
Si tu te trahissais, nous t’aurions tout à fait perdu
もし君が自分を裏切ったりしたら、ぼくたちは君をすっかり失ってしまったかもしれない。
Garde cette chance
このチャンスを保ってほしい。
Que nous t’envions en silence
口には出さないけれど(静かに)、ぼくちが君にたいして羨ましいと思っている(このチャンスを)、
Cette force de penser que le plus beau reste à venir
一番美しいものはまだこれからやってくると考えるその力を(保ってほしい。)
Et loin de nos villes
ぼくたちの町から遠くても、
Comme octobre l’est d’avril (l’est = est loin)
10月が4月から遠くにあるように遠くても、
Sache qu’ici reste de toi comme une empreinte
ここには、君の残した、痕跡が残っていることを、知ってほしい。
Indélébile
決して消えない(痕跡が)

Sans drame, sans larme
特別な出来事もなく、涙もなく、
Pauvres et dérisoires armes (drame, larmeと同格で、二つの言葉を補足、説明する)
(特別な出来事も涙も)哀れでつまらない武器にすぎないんだ、
Parce qu’il est des douleurs qui ne pleurent qu’à l’intérieur (Il est = il y a)
心の中でしか涙しない、苦しいこともあるから、
Puisque ta maison
君の家は
Aujourd’hui c’est l’horizon
今日、地平線だから、
Dans ton exil, essaie d’apprendre à revenir
君が遠くに置かれている中でも、戻ってくることを学ぼうと試みてほしい、
Mais pas trop tard
でも、あんまり遅すぎないうちに。

Dans ton histoire…
君の物語の中に・・・
Garde en mémoire…
覚えておいて欲しい・・・
Notre au revoir…
ぼくたちのさよならを・・・
Puisque tu pars…
君は去っていくから・・・
Dans ton histoire…
君の物語の中に・・・
Garde en mémoire…
覚えておいて欲しい・・・
Notre au revoir…
ぼくたちのさよならを・・・
Puisque tu pars…
君は去っていくから・・・

J’aurais pu fermer,
ぼくは閉めることができたかもしれない、
oublier toutes ces portes
忘れること(ができたかもしれない)、全ての扉を、
Tout quitter sur un simple geste, mais tu ne l’as pas fait
ちょっとした身振りで、全を手放すこと(ができたかもしれない)、でも、君はそうしなかった。
J’aurais pu donner tant d’amour et tant de force
ぼくは、たくさんの愛を、たくさんの力を、与えることができたかもしれない、
Mais tout ce que je pouvais ça n’était pas encore assez
でも、ぼくができた全てのことは、まだ十分じゃなかった、
Pas assez, pas assez, pas assez
十分じゃなかった、十分じゃなかった、十分じゃなかった


2002年のコンサート・ツアーUn Tour ensembleの映像を見ると、フランスのライブを体感しているような気分になってくる。


ゴルドマンがその美しい歌声を大変に高く評価しているセリーヌ・ディオンで、« Puisque tu pars »をもう一度聴いてみよう。

この曲には、英語でまったく別の歌詞が付けられ、« Let’s talk about love »という題名で、セリーヌ・ディオンによって歌われている。

[Verse 1]
Everywhere I go all the places that I’ve been
Every smile is a new horizon on a land I’ve never seen
There are people around the world – different faces different names
But there’s one true emotion that reminds me we’re the same…
Lets talk about love
From the laughter of a child to the tears of a grown man
There’s a thread that runs right through us all and helps us understand
As subtle as a breeze – that fans a flicker to a flame
From the very first sweet melody to the very last refrain

[Chorus]
Let’s talk about love
Let’s talk about us
Let’s talk about life
Let’s talk about trust
Let’s talk about love

[Verse 2]
It’s the king of all who live and the queen of good hearts
It’s the ace you may keep up your sleeve – until the name is all but lost
As deep as any sea – with the rage of any storm
But as gentle as a falling leaf on any autumn morn…

フランス語の歌詞と英語の歌詞を比べて見ると、二つの文化の違いを感じることになるだろう。
英語圏では、ある程度明確な内容で、相手にメッセージが伝わることに主眼が置かれている。
それに対して、フランスにおいては、理解されるかどうかは相手次第であり、最初に来るのは、自分の考えや思いを伝えることだといえる。

こうした違いは映画でもしばしば見られ、その結果、フランス映画は難しいと日本でしばしば言われることにつながっているのではないかと考えられる。

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