
フィリップ・ジャコテ(Philippe Jaccottet : 1925-2021)の詩は、非常に簡潔で透明な言葉で綴られながら、豊かなイメージの連鎖を読者の中に掻き立てる。
そんな詩は、彼が日本の俳句に興味を持っていたことと関係している。
ジャコテにとっての俳句とは、一見無意味に見える遠く離れたものの間に存在する隠れた関係を捉え、その関係を私たちに教えてれるもの。それを知ることで、私たち自身の人生が変わることさえある。
そんな考えを持つフィリップ・ジャコテは、2021年に亡くなるまで、南フランスのドローム県にあるグリニャンという小さな町に住み、身近な自然の光景を短く透明な言葉で綴ってきた。
ここでは、『アリア集(Airs)』に収められた« Lune d’hiver »(冬の月)を読んでみよう。
Lune d’hiver
Pour entrer dans l’obscurité
Prends ce miroir où s’éteint
un glacial incendie :
atteint le centre de la nuit,
tu n’y verras plus reflété
qu’un baptême de brebis






