フランス語講座 シャルル・ノディエ 「1時あるいは幻影」 Charles Nodier « Une Heure ou la Vision » 3/4

以下の文の後半で、やっと物語が動き始める。
その印は、動詞の時制によって示される。

Un jour, je m’étais rendu, plus tard que d’habitude, à l’endroit accoutumé ; et, soit que les ténèbres plus obscures eussent trompé mon dessein, soit que la succession de mes idées, plus inégales et plus fortuite, m’eût fait perdre de vue le but de ma course nocturne, la cloche du village frappait une heure, quand je m’aperçus que je ne suivais plus ma route familière, et que mes distractions m’avaient poussé dans un chemin inconnu. je hâtai le pas vers le lieu d’où le son était parti.

1)
Un jour, / je m’étais rendu, /plus tard que d’habitude, /à l’endroit / accoutumé,

Un jour : ある日、
je m’étais rendu:私は向かっていた。se rendre 向かう
plus tard que d’habitude:いつもより遅く
à l’endroit :場所に
accoutumé:いつもの、慣れた

je m’étais rendu (向かっていた)と理解できれば、次に来る要素は、「いつ」「どこに」「どのように」等だと予想できる。
時制は、大過去:je me rends(現在) ; je me suis rendu (複合過去)、je m’étais rendu (半過去étais + 過去分詞rendu=大過去)

plus tard que : plus… que 比較級

d’habitude :いつもより、une habitude=習慣

accoutumé 慣れた、いつもの。une coutume 習慣

2)
et, soit que les ténèbres plus obscures eussent trompé mon dessein,

soit que…, soit que…:・・・であるにしろ、・・・であるにしろ
les ténèbres plus obscures:いつもより暗い闇が。
eussent trompé :騙した
mon dessein:私の意図を。私の計画を。

les ténèbres plus obscures :plus は比較級だが、que…という比較の部分は書かれていない。

eussent trompé :騙した。
eussent : avoirの接続法半過去。
eussent trompé:接続法半過去+過去分詞は接続法大過去。

接続法の役割は不定法と同じなので、難しいと思う必要はない。
https://bohemegalante.com/2019/05/20/subjonctif/

全体の意味としては、闇がいつもよりも深かったので、行こうと思っているところに行けなかったのかもしれない、という内容。

3)
soit que la succession de mes idées, plus inégales et plus fortuites, m’eût fait perdre de vue le but de ma course nocturne,

soit que…, soit que…:・・・であるにしろ、・・・であるにしろ
la succession :連続
de mes idées:私の思考の
plus inégales:より一定しない、égal=イコール、平等、同じ。
et plus fortuite:そして、より偶発的な、偶然の、
m’eût fait perdre de vue:私に見失わせた、perdre de vue :見失う
le but:目的地、目標
de ma course :コース、進路
nocturne :夜の

a.
La succession de mes idées が主語、eût fait perdre が動詞、le butが直接目的語。SVO構文。

b.
mes idées, plus inégales et plus fortuites:inégales, fortuitesが複数形なので、la successionではなく、mes idéesの説明だとわかる。

c.
la succession de mes idées, plus inégales et plus fortuites:
日本語に訳すと、より不均質でより偶発的な私の思考の連続、となる。
この表現を理解するときに、二つのことが問題になる。
1)語順
フランス語では、連続ー私に思考のー不均質なーそして偶発的な、という順番。
日本語にすると、語順が逆にってしまう。
2)名詞表現
フランス語の書き言葉では、名詞表現が多く使われる。そのために堅い印象をある。
日本語は、動詞表現が多く、流れるようで、穏やかな印象がある。
succession:名詞では連続。動詞的に理解すると、連続すること。
la succession de mes idées :(動詞的に理解すると)考えが次々に湧き上がってくる。
mes idées, plus inégales et plus fortuites:その考えは、いつもよりばらばらで、いつも以上に一貫性がない。

d.
la succession (…) m’eût fait perdre de vue le but…
eût はavoirの接続法半過去。
eût faitは、接続法大過去。
接続法に関しては、不定法と同じ役割を果たすので、とくに難しく考える必要はない。
https://bohemegalante.com/2019/05/20/subjonctif/

faire perdre :faireは使役動詞。perdre:失う。⇒ 失わせる。
de vue :見ることに関して。
perdre de vue;見失う。de vueは、前置詞+名詞であり、直接目的語になることはできない。見ることに関して、くらいの意味。

m’eût fait (…) le but
meは最初、faire perdreの直接目的語なのか、間接目的語なのか不明。
私に関すること、くらいに理解する。
fait perdre de vueの後ろにle butが続き、直接目的語であることがわかる。その結果、meが間接目的語であることが、事後的に理解できる。
従って、la succession m’eut fait perdre de vue le butは、主語・間接目的語(代名詞)・動詞・直接目的語の構文。

フランス語の書き言葉は名詞を多く使う傾向にあり、品詞をそのままで理解しようとすると、次のようになる。
考えの連続が私に目的地を見失わせた。(名詞の多い表現)
意味を理解するためには、名詞を動詞的に解きほぐし、主語も人にした方がわかりやすくなる。
色々な考えが浮かんできたために、私は目的の場所を見失った。

4)
la cloche du village frappait une heure

la cloche du village :村の鐘
frappait :打った。時制は半過去。状況を示す。
une heure:1時。

5)
quand je m’aperçus que… et que…

quand:その時。
je m’aperçus :私は気づいた。
que 以下は、気づいた内容。

a.
quand …
・・・の時と訳してしまうと、語順が逆転してしまう。
1時がなった。その時・・・と前から理解すると、語順のまま理解することができる。
また、物語も、その順番に展開する。

b.
je m’aperçus:単純過去
これ以前に使われてきた時制は、基本的には半過去。ずっと物語の背景となる状況が説明されてきた。
単純過去によって、物語が動き始める。

単純過去は、物語の出来事を語る時制。https://bohemegalante.com/2019/05/18/systeme-temps-verbe-francais-2/

c.
… que … et que …
気づいた内容がque以下の文。

6)
que je ne suivais plus ma route familière,

suivait :辿っていった。
ne … plus もはや・・・ない。
ma route;道。
familière:いつもの

suivait:半過去。
主文がje m’aperçutと過去形なので、時制の一致で半過去に置かれている。

7)
et que mes distractions m’avaient poussé dans un chemin inconnu.

mes distractions :気晴らし、放心。
m’avaient poussé:私を押していっていた。
dans un chemin :道の中に。
inconnu :知らない、未知の。

mes distractions :辞書に書かれた日本語のままだと、意味がわかりにくい。私はいろいろ気が散っているという意味。
一回ではなく、何度か気が散っているために、複数になっている。

m’avaient poussé:avoir + 過去分詞⇒大過去。
私が気づいた(je m’aperçus)の時点では、すでに気が散って、見知らぬ未知に入っていたことを示すため、大過去形が使われている。
別の言い方をすると、気づいた時点では、知らない道に来てしまったことは完了している。

me は、pousserの直接目的語。

8)
je hâtai le pas vers le lieu d’où le son était parti.

je hâtai :早めた。急がせた。
le pas:歩み、歩。
vers :向かって。
le lieu :場所
d’où :そこから。(de +関係代名詞où )
le son :音
était parti :発していた。partir 出発する。

a.
je hâtai :単純過去。
物語の出来事を示す。
je m’aperçusし、次に、je hâtaiした。

b.
le lieu d’où
関係代名詞は、名詞le lieuに説明を加える役割を果たす。
de:から、où le lieuを示す。⇒ その場所から、

c.
le son était parti:êtreの半過去+過去分詞parti⇒大過去。
私は歩みを早めて、そちらに向かった。(je hâtai)。その時には、すでに鐘の音は鳴っている(完了)ので、大過去が使われる。

最後に、日本語を介さず、前から読んで内容が理解できるかどうか、試してみよう。

Un jour, je m’étais rendu, plus tard que d’habitude, à l’endroit accoutumé ; et, soit que les ténèbres plus obscures eussent trompé mon dessein, soit que la succession de mes idées, plus inégales et plus fortuite, m’eût fait perdre de vue le but de ma course nocturne, la cloche du village frappait une heure, quand je m’aperçus que je ne suivais plus ma route familière, et que mes distractions m’avaient poussé dans un chemin inconnu. je hâtai le pas vers le lieu d’où le son était parti.

単語の復習

名詞:
un jour, une habitude, un endroit, les ténèbres, mon dessein, la succession, une idée, une vue, le but, ma course, la cloche, le village, une heure, ma route, une distraction, un chemin, le pas, le lieu, le son

動詞:
se rendre à, tromper, faire perdre de vue, frapper, s’apercevoir, suivre, pousser, hâter, partir

形容詞:
accoutumé, obscure, inégal, fortuit, familier, nocturne, inconnu

その他:
plus … que, tard, d’habitude, soit que… soit que…, quand, ne … plus, vers, d’où

文法の復習

半過去で状況が示され、単純過去で行動が示される。
La cloche du village frappait une heure. 1時がなっていた。(状況)
Quand je m’aperçut…. その時に、気づいた。(行動)

大過去は、それ以前にすでに完了していることをしめす。
je m’étais rendu… いつもの場所に向かっていた。
les distractions m’avaient poussé…. 気が散っていて、知らない道に迷い込んでしまっていた。

Je hâtai le pas. 私は急ぎ足で向かった。
Le son était parti. その時にはすでに1時の鐘の音はしていた。

時制を使いわけることで、時間軸の上での、それぞれの状況や行動の前後関係が明らかになる。
そのことで、小説に深みと、面白さを作り出すことができる。

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