映画「エッフェル」の公開を前にして、映画の中で描かれたエッフェル塔を紹介したニュース。
Month: 10月 2021
映画「オオカミとライオン(Le Loup et le lion)」の撮影現場
スタンダール 『恋愛論』 結晶化作用 恋愛の生理学から恋愛の美学へ

『赤と黒』で知られるスタンダールは、常に「幸福」を追求し続けた。
実際の人生の中でも、小説の中でも、自伝、旅行記、絵画や音楽に関する批評の中でも、彼は幸福の味を探し求めた。
幸福の追求において、彼が最もこだわったのは「恋愛」だった。『赤と黒』『パルムの僧院』においても、恋愛心理の分析が驚くほど緻密に行われ、説得力を持って語られている。

そうしたスタンダールの恋愛理論の中で、とりわけよく知られているのが、恋愛感情が生まれる時に発生する「結晶化作用(cristallisation)」。
「ザルツブルクの小枝」の比喩は、誰もが一度は耳にしているかもしれない。
葉の落ちた木の枝を、塩を採集していた坑道の奥深くに投げ込む。しばらくして引き出してみると、枯れ枝にキラキラと輝く結晶が付いている。
恋愛の初期には、それと同じ結晶作用が起こり、愛する対象が美しく見える。
スタンダールが1821年に出版した『恋愛論(De l’Amour)』の中で、「恋愛の結晶作用」がどのように語られているのか、フランス語で読んでみることにしよう。
続きを読む絵画を見る眼 フランチェスコ・アイエツの「接吻」
パリ・ファッションウイークに集う人々
2021年9月30日~10月5日に開催されたする「パリ・ファッションウィーク(PFW)22年春夏」に集う人々を、面白可笑しく紹介している。
Le meilleur de la Fashion Week c’est toujours à l’extérieur des défilés
Ce lundi dans son Transpi, Étienne Carbonnier nous emmène à la Fashion Week, le rendez-vous des accros de la mode et des Parisiens énervés.
2020年ドバイ万博
アラブ首長国連邦(UAE)を構成する首長国の一つドバイで、コロナ禍で1年延期になっていた「2020年ドバイ国際博覧会」(ドバイ万博)が、2021年10月1日に開幕した。
万国博覧会の歴史も含め、ドバイ万博の様子を紹介しているビデオ。
ポール・サイモン「アメリカの歌」 とバッハ「マタイ受難曲」
ポール・サイモンが1973年に発表した”American Tune”は、ベトナム戦争の後遺症が残るアメリカの精神性を歌った唄。
この曲のメロディーが、バッハ「マタイ受難曲」のコラール曲「おお、血と涙にまみれ御頭よ」から取られていることを、作曲家の河邊一彦が指摘している。
https://liberty-music.jimdofree.com/2014/10/25/j-s-%E3%83%90%E3%83%83%E3%83%8F%E3%81%A8%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB-%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%A2%E3%83%B3/
19世紀の時代精神 社会の中の「私」 2/2 新しい芸術観
19世紀前半のロマン主義は、ルネサンス以来のプラトニスム的芸術観を引き継いだものだと考えられるが、19世紀後半になると全く新しい芸術観が発生した。
その新しい芸術観の最も根源的な本質は、「作り出されたもの自体」に価値を置く、ということにつきる。

文学にしろ、絵画にしろ、現実の存在を前提とし、その現実を再現するのであれば、作品は現実のコピーにすぎないことになる。
それに対して、新しい芸術観の下では、作品は現実から自立したものと見なされる。描かれた絵画そのもの、書かれたテクストそのものが芸術の価値だと考えられる。
20世紀に入り、ピカソ、シュール・レアリスム、抽象芸術などが出現する。私たちは、そこに何が描かれているのか分からないことがしばしばあるが、しかし、美を見出すこともある。
そうした例を思い浮かべると、現実から自立した芸術がどのようなものか、理解できるだろう。
19世紀後半は、こうした新しい芸術観が誕生した時代。
ロマン主義から新しい芸術観への転換を私たちに教えてくれるのは、シャルル・ボードレールであり、ギュスターヴ・フロベールである。
19世紀の時代精神 社会の中の「私」 1/2 ロマン主義

19世紀は、文学だけではなく、絵画や音楽に関しても、日本でよく知られた芸術家たちを輩出した時代。
小説家で言えば、ヴィクトル・ユゴー(『ノートルダム・ド・パリ』『レ・ミゼラブル』)スタンダール(『赤と黒』)、バルザック(『人間喜劇』)、アレクサンドル・デュマ(『三銃士』)、メリメ(『カルメン』)、ジョルジュ・サンド(『愛の妖精』)、フロベール(『ボヴァリー夫人』)、エミール・ゾラ(『居酒屋』)、モーパッサン(『女の一生』)、アルフォンス・ドーデ(「アルルの女」「最後の授業」)、等。
詩人であれば、ボードレール、ヴェルレーヌ、ランボー、等。
画家なら、ドラクロワ、クールベ、マネ、モネ、ルノワール、ロートレック、ゴッホ、ゴーギャン、ギュスターヴ・モロー、セザンヌ、等。
音楽家なら、ショパン、ベルリオーズ、リスト、ドビュシー、サティ、サン・サーンス、ビゼー、等。
さらに、ロマン主義、写実主義(レアリスム)、自然主義、印象派、象徴派、デカダンス、世紀末芸術といった用語も知られている。
その一方で、19世紀の半ばに世界観・芸術観の大転換があり、そこで発生した新しい世界像が20−21世紀の世界観・芸術観の起源となったことは、あまり意識されていない。
ここでは簡潔に19世紀文学の流れを辿り、時代精神の大きな転換について考えていく。
続きを読む
