一人の画家でも、キャリアを通して、描くタッチはかなり変化する。画家の気質が絵画の根底を貫いているとすると、時代による様式の変化等に応じて、対象は同じだとしても、絵画が生み出す印象はかなり違うこともある。
以下の二枚の静物画、一方は初期に、他方は後期に描かれたもの。「花」として見るのではなく、「絵具の動き」として見れば、あまりの違いに驚くかもしれない。


画家の名前を忘れ、ただ目の前に展開する絵具の運動として見てみたい。











二人の画家によって、ほぼ同じ時代にほぼ同じ対象を描いた2枚の絵画。気質の違いがはっきりとわかる。
では、(1)と(2)で、どちらがこれまで見てきた画家の作品だろう。


正解は(2)。
画家の名前は、エドワール・マネ。
アンリ・ファンタン=ラトゥールの「バティニョルのアトリエ」の中では、絵筆を持つマネの姿が描かれている。
