音のない言葉を考えることはできない。
声に出して話したり読んだりする時だけではなく、頭の中で何かを考える時にも音があり、それらの音の繋がるリズムを感じている。
日本語を母語とする者にとっては、5/7を基本とするリズムがごく自然に心地よく感じられる。
ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心(しづごころ)なく 花の散るらむ(紀友則)
私の上に 降る雪は/真綿(まわた)のやうで ありました(中原中也)
これらの言葉の魅力は、意味だけではなく、口調の良さによってももたらされている。
言葉たちが音楽を奏で、私たちはその音楽に耳を傾けて、うっとりするといってもいいだろう。